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海外テニス

59度目の宿命の対決。ジョコビッチ優勢とされるなか「ここで戦える事実を楽しみたい」と語るナダルの決意<SMASH>

内田暁

2022.05.31

2人が最後に戦ったのが1年前の全仏オープンだ。ジョコビッチが逆転でナダルを振り切り、30勝目を挙げた。(C)Getty Images

2人が最後に戦ったのが1年前の全仏オープンだ。ジョコビッチが逆転でナダルを振り切り、30勝目を挙げた。(C)Getty Images

 昨年の全仏から今大会まで続いた1年間の“無対戦”は、2人の対戦史においては、最長クラスの空白の期間だ。

 そしてこの1年間は、2人にとって大きな失望と歓喜を経験した、キャリアにおいても忘れがたい日々だったろう。

 昨年の全仏の死闘で全てを出し尽くしたかのように、ナダルは続くウインブルドンと東京オリンピックを欠場。8月に復帰するものの、2試合を戦った後、足の負傷のため残りのシーズンを欠場した。

 一方のジョコビッチは、全仏を制し続くウインブルドンも優勝。年間グランドスラムどころか、オリンピックも含めた“ゴールデンスラム”も一気に現実味を帯びた。だがその後、オリンピックは準決勝、全米では決勝で涙の敗戦を喫する。さらに今年の全豪オープンは、ワクチン接種を巡り、オーストラリア入国すらかなわなかった。

 そのジョコビッチ不在の全豪オープンで、トロフィーを抱いたのが、ナダル。「数週間前には、ここに立っていることすら想像できなかった」と涙にくれた、21度目のグランドスラム戴冠だった。
 
 その奇跡の栄冠の時から、4か月。

 ナダルはBNPパリバ・オープン(インディアンウェルズ・マスターズ)で決勝に進出するも、その代償として肋骨を痛め、6週間の離脱を強いられた。さらに復帰後のマドリードやローマでは、足の痛みの再発に苦しめられている。

 それだけに今大会ベスト8進出に、ナダルは「何も不満はない。2週間半前には、パリにいられるかわからなかったのだから」と幸福そうに笑った。

 対するジョコビッチは、全豪欠場が尾を引いたか最初の4大会では優勝を逃すも、直近のイタリア国際(ローマ・マスターズ)では、全試合ストレートで優勝し完全復活を印象付けた。今大会も、ここまで失セットゼロの盤石の勝ち上がり。

 一方のナダルは、4回戦のフェリックス・オジェ-アリアシム戦で、4時間31分に及ぶフルセットの死闘を制したばかりだ。

 決戦の舞台は、20時45分(日本時間6月1日3時45分)開始のナイトマッチ。寒さが増しスピンの威力が削がれるパリの夜は、ナダルが好きなローランギャロスではないだろう。

 状況的には、世界1位のジョコビッチが優勢と目される、通算59度目の対戦。

 その現実を踏まえ、「自分が置かれた状況はわかっている。全てを受け入れ、戦うだけだよ」と淡々と語るナダルは、穏やかな笑みで続けた。

「そしてもう1年、ここで戦える事実を楽しみたい。だって今の僕には全ての試合が、ローランギャロス最後の試合になるかもしれないんだから」……と。

現地取材・文●内田暁

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