専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
海外テニス

全仏OPの新大会ディレクター、モーレスモの選手目線の取り組み。今後の注目はナイトセッションの改善<SMASH>

内田暁

2022.06.06

8時45分開始のナイトセッション。ナダル対ジョコビッチの準々決勝は多くの観客に見守られる中、翌日の1時すぎに終了した。(C)Getty Images

8時45分開始のナイトセッション。ナダル対ジョコビッチの準々決勝は多くの観客に見守られる中、翌日の1時すぎに終了した。(C)Getty Images

「元女子選手である私でも、今の時代においては、男子の試合の方が魅力的であると言わざるをえない」。自分の思いを置き換える言葉を慎重に探しつつ、モーレスモはこうも続ける。

「ドローが組み上がった時、顔合わせやスター性など、いろんな面を考慮しどの試合が良いか毎日考え続けてきた。その上で、一日に一試合しかないナイトセッションに、どの試合を入れるか決めるのは本当に難しかった」

 これら一連の発言は、トーナメントディレクターによる女子テニス軽視の向きとして、多方面に波紋を及ぼした。

 モーレスモの会見と同日に行なわれた試合後の会見で、この件について問われた世界1位のシフィオンテクは、既に全てを把握していた風情で即座に応じた。

「WTAの選手であった彼女の発言に、少し残念に思うし驚いてもいる」。また、「決められたことには従う」としながらも、「常にエンターテインメント性に溢れたテニスをしようと思っている。つらいと感じた時に言い聞かせるのは、観客のために試合をしているのだということ」と、女子テニス界の顔としての矜持を静かな口調に滲ませた。
 
 多くの批判を受けたことに「驚いた」というモーレスモは、翌日、自ら数人のジャーナリストに声を掛け、女子選手たちに謝罪したことを明かした。また、現地を訪問していたWTA創設者のビリージーン・キング氏とも、話し合いを持ったと言う。

 そのビリージーン・キング氏は、モーレスモの発言に、「何かアクションを起こさないと、私たちは二級市民のまま」と釘を指すも、「彼女はまだトーナメントディレクター1年目。どんどん良くなっていくはず」とエールも送る。

 ナイトセッションに関しては既に、チケット販売や、放映権を持つアマゾン・プライムの視聴者数など、データは出揃っているという。

 現役時代のモーレスモは、攻撃テニスを身上としつつ、多彩なショットで相手のプレーに適応する能力にも長けた。トーナメントディレクターとしても、同様の資質を発揮できるか? ここからが腕の見せどころだ。

現地取材・文●内田暁

【PHOTO】なかなか見られないトッププロの練習やテニス教室の様子
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号