「私がグランドスラムに出始めた頃から、シングルスで強い選手がダブルスでも勝ってきている印象」
そう述懐する青山は、だからこそ「ストロークなどベースの向上」の必要性を、常々口にしてきた。
その青山たちが今大会で敗れた相手は、クレイチコワ/シニアコワ。グランドスラム5度の優勝を誇るダブルスの名手だが、サービスやリターンなど個々のショットの質の高さがやはり際立つ。
「ファーストサーブの確率も相手は良くて。ストロークも、コースやスピードもありますが、ボールの重さを感じました」
それが青山の肌感覚。
その現実を受け止めた上で、「まずは相手としっかり打ち合えることが大事。そのなかで、ロブやポーチを使って、どういう風に崩すかを考える“頭”を養っていくことです」と未来への展望を語った。
そのように戦術や連携を深めていくには、固定パートナーが居るにこしたことはないだろう。ただランキング15位の青山にしても、チャン・ハオチンと組むのは東レパンパシフィックオープンまでで、以降のパートナーは未定だという。選手各々の優先順位も異なるなかで、二人三脚を通すのは易くない。
「6月以降は、ここ数年で一番良いテニスができている」と語り、その理由の多くをパートナーに求めたのは、加藤未唯。ただ、今大会でも組んだアルディラ・スーチャディはシングルスに出ていく意向もあり、今後はどうなるかわからないという。
その加藤が挙げる「固定パートナーを作る難しさ」は、なかなかに興味深い。彼女の思う大きな障壁は、「住む地域や国籍」にあるという。
「ヨーロッパの選手だと、欧州に山ほど試合があるので、アメリカ行かないことが多い。逆のパターンもある。それに入国に伴いビザが必要な国の人たちも多いので、『ここの大会にはビザが間に合わないからいけない』ということもあります」
ただでさえ試合が少ない上に、この2年間は国際大会がほぼ消えたアジア圏の選手にとっては、欧州も北中米も遠征という意味で大差ない。だが欧米の選手にとっては、近場で完結することも可能。その観点から、スケジュールをすり合わせるのが難しいというのだ。
ダブルスでの強さを規定する因子も、ツアーの変容に伴い変わっていく。
ただ、ダブルスの“チーム競技”的な側面は、テニスが有するもう一つの大きな魅力。ダブルス選手が、職人的な技や戦略性でシングルスのトップ選手を凌駕することで、その魅力は一層深まるはずだ。
現地取材・文●内田暁
【PHOTO】全米オープン2022で熱戦を繰り広げるガウフら女子選手たちの厳選写真!
そう述懐する青山は、だからこそ「ストロークなどベースの向上」の必要性を、常々口にしてきた。
その青山たちが今大会で敗れた相手は、クレイチコワ/シニアコワ。グランドスラム5度の優勝を誇るダブルスの名手だが、サービスやリターンなど個々のショットの質の高さがやはり際立つ。
「ファーストサーブの確率も相手は良くて。ストロークも、コースやスピードもありますが、ボールの重さを感じました」
それが青山の肌感覚。
その現実を受け止めた上で、「まずは相手としっかり打ち合えることが大事。そのなかで、ロブやポーチを使って、どういう風に崩すかを考える“頭”を養っていくことです」と未来への展望を語った。
そのように戦術や連携を深めていくには、固定パートナーが居るにこしたことはないだろう。ただランキング15位の青山にしても、チャン・ハオチンと組むのは東レパンパシフィックオープンまでで、以降のパートナーは未定だという。選手各々の優先順位も異なるなかで、二人三脚を通すのは易くない。
「6月以降は、ここ数年で一番良いテニスができている」と語り、その理由の多くをパートナーに求めたのは、加藤未唯。ただ、今大会でも組んだアルディラ・スーチャディはシングルスに出ていく意向もあり、今後はどうなるかわからないという。
その加藤が挙げる「固定パートナーを作る難しさ」は、なかなかに興味深い。彼女の思う大きな障壁は、「住む地域や国籍」にあるという。
「ヨーロッパの選手だと、欧州に山ほど試合があるので、アメリカ行かないことが多い。逆のパターンもある。それに入国に伴いビザが必要な国の人たちも多いので、『ここの大会にはビザが間に合わないからいけない』ということもあります」
ただでさえ試合が少ない上に、この2年間は国際大会がほぼ消えたアジア圏の選手にとっては、欧州も北中米も遠征という意味で大差ない。だが欧米の選手にとっては、近場で完結することも可能。その観点から、スケジュールをすり合わせるのが難しいというのだ。
ダブルスでの強さを規定する因子も、ツアーの変容に伴い変わっていく。
ただ、ダブルスの“チーム競技”的な側面は、テニスが有するもう一つの大きな魅力。ダブルス選手が、職人的な技や戦略性でシングルスのトップ選手を凌駕することで、その魅力は一層深まるはずだ。
現地取材・文●内田暁
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