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国内テニス

今季限りで引退の奈良くるみ、東レPPO予選1回戦快勝!「頑張れているから、辞めてもいい」<SMASH>

内田暁

2022.09.17

試合後の記者会見で引退について語る奈良は、笑顔を浮かべながらも瞳からは様々な思いとともに涙があふれ出た。写真=スマッシュ編集部

試合後の記者会見で引退について語る奈良は、笑顔を浮かべながらも瞳からは様々な思いとともに涙があふれ出た。写真=スマッシュ編集部

 思い返せば2017年の夏、奈良は勝ち星に見放され、それこそ、もう続けられないと泣いて過ごしたと言っていた。

 それでも、「あそこに行けば、また自分の良いプレーが取り戻せるのかな」と切なる期待を抱いて向かったニューヨークで、彼女はクズネツォワから金星をつかみとる。

「結果が出ない時にも、練習で頑張れているという自信はあった。めげずに腐らずやっていれば、良いことがあるんだなと証明できた」

 5年前の夏、ニューヨークで彼女は、そう笑っていた。

 今年6月。

 引退の決意が「降ってくる」その前にも、彼女は勝ち星に見放される時期を過ごしていた。

「結果がなかなか出せず苦しいなかで、それでも、今自分は頑張れているなと認められるものがありました。だから韓国で優勝してホッとした部分もあったのかもしれないし、頑張れているということは、辞めてもいいのかな……」

 その時の想いを、彼女は丁寧につむぎなおす。
 
「頑張れているから、辞めてもいい」――ともすると矛盾しているように響くこの言葉にこそ、奈良くるみというテニスプレーヤーの真髄がつまっているようだ。
 
 コートに立つ全ての時間を、全てのショットを無駄にすることなく、155センチの小柄な身体で、上空を含めた空間を一杯いっぱいに用いて、自分を最大限に表現しきる。

 そんな奈良くるみのテニスは、キャリア最後の瞬間まで、コートに描かれていく。

取材・文●内田暁

奈良くるみ/ならくるみ
1991年12月30日、兵庫県生まれ。155cm、52kg、右利き。小柄だがショットの組み立てがうまく、コートカバーにも長け、長年日本女子のエースとして活躍してきた。2014年リオデジャネイロでツアータイトルを獲得し、WTAランキング自己最高32位をマーク。13年、17年全米、14年全豪で3回戦進出。安藤証券所属。

【PHOTO】奈良くるみ、大坂なおみ、土居美咲ら、世界で戦う日本人女子テニスプレーヤーたち!

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