思い返せば2017年の夏、奈良は勝ち星に見放され、それこそ、もう続けられないと泣いて過ごしたと言っていた。
それでも、「あそこに行けば、また自分の良いプレーが取り戻せるのかな」と切なる期待を抱いて向かったニューヨークで、彼女はクズネツォワから金星をつかみとる。
「結果が出ない時にも、練習で頑張れているという自信はあった。めげずに腐らずやっていれば、良いことがあるんだなと証明できた」
5年前の夏、ニューヨークで彼女は、そう笑っていた。
今年6月。
引退の決意が「降ってくる」その前にも、彼女は勝ち星に見放される時期を過ごしていた。
「結果がなかなか出せず苦しいなかで、それでも、今自分は頑張れているなと認められるものがありました。だから韓国で優勝してホッとした部分もあったのかもしれないし、頑張れているということは、辞めてもいいのかな……」
その時の想いを、彼女は丁寧につむぎなおす。
「頑張れているから、辞めてもいい」――ともすると矛盾しているように響くこの言葉にこそ、奈良くるみというテニスプレーヤーの真髄がつまっているようだ。
コートに立つ全ての時間を、全てのショットを無駄にすることなく、155センチの小柄な身体で、上空を含めた空間を一杯いっぱいに用いて、自分を最大限に表現しきる。
そんな奈良くるみのテニスは、キャリア最後の瞬間まで、コートに描かれていく。
取材・文●内田暁
奈良くるみ/ならくるみ
1991年12月30日、兵庫県生まれ。155cm、52kg、右利き。小柄だがショットの組み立てがうまく、コートカバーにも長け、長年日本女子のエースとして活躍してきた。2014年リオデジャネイロでツアータイトルを獲得し、WTAランキング自己最高32位をマーク。13年、17年全米、14年全豪で3回戦進出。安藤証券所属。
【PHOTO】奈良くるみ、大坂なおみ、土居美咲ら、世界で戦う日本人女子テニスプレーヤーたち!
それでも、「あそこに行けば、また自分の良いプレーが取り戻せるのかな」と切なる期待を抱いて向かったニューヨークで、彼女はクズネツォワから金星をつかみとる。
「結果が出ない時にも、練習で頑張れているという自信はあった。めげずに腐らずやっていれば、良いことがあるんだなと証明できた」
5年前の夏、ニューヨークで彼女は、そう笑っていた。
今年6月。
引退の決意が「降ってくる」その前にも、彼女は勝ち星に見放される時期を過ごしていた。
「結果がなかなか出せず苦しいなかで、それでも、今自分は頑張れているなと認められるものがありました。だから韓国で優勝してホッとした部分もあったのかもしれないし、頑張れているということは、辞めてもいいのかな……」
その時の想いを、彼女は丁寧につむぎなおす。
「頑張れているから、辞めてもいい」――ともすると矛盾しているように響くこの言葉にこそ、奈良くるみというテニスプレーヤーの真髄がつまっているようだ。
コートに立つ全ての時間を、全てのショットを無駄にすることなく、155センチの小柄な身体で、上空を含めた空間を一杯いっぱいに用いて、自分を最大限に表現しきる。
そんな奈良くるみのテニスは、キャリア最後の瞬間まで、コートに描かれていく。
取材・文●内田暁
奈良くるみ/ならくるみ
1991年12月30日、兵庫県生まれ。155cm、52kg、右利き。小柄だがショットの組み立てがうまく、コートカバーにも長け、長年日本女子のエースとして活躍してきた。2014年リオデジャネイロでツアータイトルを獲得し、WTAランキング自己最高32位をマーク。13年、17年全米、14年全豪で3回戦進出。安藤証券所属。
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