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海外テニス

テニス四大大会で“ダブルス・スペシャリスト”が勝ちにくくなった「新たな理由」<SMASH>

内田暁

2022.09.08

今季はすでにツアーで4勝を挙げている穂積/二宮ペア(写真)だが、シングルス選手が多く出場する四大大会のダブルスでは結果が出せていない。(C)Getty Images

今季はすでにツアーで4勝を挙げている穂積/二宮ペア(写真)だが、シングルス選手が多く出場する四大大会のダブルスでは結果が出せていない。(C)Getty Images

「ほんとに最近はグランドスラムに限らずですが、シングルス選手がダブルスに出るようになって、強いと感じています」

 今大会のダブルス初戦。フリプケンス/ソリベストルモ組に敗れた穂積絵莉は、抱えてきた思いを一気に吐き出すように言った。

 今大会も含め、今季多く組んできた二宮真琴とは、4年前の全仏オープンで決勝進出を果たしている。今年もすでに、同じペアでツアー4大会で優勝。それも、ハード、クレー、そしてグラスと、すべてのサーフェスを制したのだ。

 ただその二人が、グランドスラムに限っていうと、全豪オープンの2回戦進出が最高戦績。穂積はその理由を、グランドスラムではシングルス選手が多く参戦していることにあると見ていた。

「ここ数年のグランドスラムを見ても、ダブルスで優勝しているのは、単複やっている人ばかり。ダブルス専門の選手が全然勝てていない現状がある。わたしも今年はダブルスに絞ってやっている中で、スキルが落ちている感じがあったので、途中から練習量やトレーニング量を増やしたんです」

「シングルスプレーヤーとやるときは、対等に打ち合えるフィジカルとスキルがないと絶対に勝てない。それが今の私たちには足りなくて、今年のグランドスラムで勝てなかったと思っています」
 
 シングルス選手のダブルスでの活躍の背景に、5年前のルール変更があるかもしれない。グランドスラムは長く、シングルスランキングを用いてダブルスにも出られる唯一の大会群だった。だが2017年からWTAツアーでも、シングルスランキングでのダブルス出場枠が設けられる。その数は16ドローの大会なら3枠、それ以上の規模なら5枠。

 シングルスで活躍する選手が、今まで以上にダブルスにも出るようになったのには、そのような背景があるだろう。シングルス12位のココ・ガウフが、3週間前にダブルス1位になったのは、一つの象徴的な出来事だ。

今大会、“チャン姉妹の妹”ことチャン・ハオチンと組んだ青山修子は、穂積が指摘した現象には、かなり以前から自覚的だったという。
 
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