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海外テニス

全豪OPの予選1回戦を快勝した日本男子3選手。GS本戦経験がない綿貫と野口、実績を持つ杉田に“共通した姿”<SMASH>

内田暁

2023.01.11

共に予選1回戦を突破した野口(左)と杉田(右)。※写真は別の大会のもの(THE DIGEST写真部、Getty Images)

共に予選1回戦を突破した野口(左)と杉田(右)。※写真は別の大会のもの(THE DIGEST写真部、Getty Images)

 野口のプレーはもとより粘り強く、ミスが少ない。加えてミスや敗戦にも、「そういう日もあるよね」と流せる良い意味での諦念がある。

 昨年の序盤は、インドや南米など多くの国に遠征し、クレーや超高速ハードなど、異なるサーフェスで戦った。良い日と悪い日、勝利と敗戦をまだら模様に重ねるうちに、テニスのゲーム性に対する感度や理解度が高まったという。

「地道に努力するのは得意」という泥臭さを、飄々とした佇まいで程よく中和し、開花の時を迎えつつある。

 デビュー戦となる全豪予選初戦でも、野口の魅力はいかんなく発揮された。第1セットは7本のセットポイントを逃すも、「全然気にしてなかった」とサラリ。8度目の正直でセット奪取に成功すると、第2セットは序盤でリード。自分のペースに相手を取り込んだ野口が、7-5、6-1で快勝した。
 
 この日、勝利を挙げたもう一人の日本男子選手が、杉田祐一。現在34歳、ランキングは913位。今大会には、プロテクトランキングを用いての出場である。

 昨年末の時点で杉田は、「心も身体も、テニスにうまく向き合えていない」と、苦しそうに打ち明けていた。プロテクトランキングを用いて出場できるのも、残り数大会。その間にランキングをどれだけ上げられるかが、今度の進路を大きく左右する。

「文字通りの、背水の陣ですね」と言ったのは、トレーナーとして帯同する大瀧レオ祐市氏。キャリア最高の日も苦しい時も並走してきた盟友の言葉は、客観的かつ主観的だ。
 
 背水の陣で挑む杉田の想いは、ボールに向かう背からも発散されるようだった。高いポジションでボールを捉え、一打ごとに気持ちを込めるように小さく叫び、ウイナーを決めた時は拳を握りしめて吠える。

 相手は予選第10シードの難敵だが、開始直後から終始主導権は杉田の手に。アクセルを踏む足を緩めることなく、ゴールまで駆け抜けるような6-4、6-1の快勝だった。

 まだグランドスラム本戦出場経験のない綿貫と野口。そして、浮き沈みがありながら17度の本戦出場の実績を持つ杉田。

 各々がキャリアの異なる地点に立ちながらも、今ここを新たな出発点として、まずは好調なスタートを切った。

取材・文●内田暁

【PHOTO】綿貫陽介のサービス、ハイスピードカメラによる『30コマの超分解写真』
 

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