最近では、長年のリターン強化の取り組みが、一挙に結実した手ごたえがある。
今回の二宮とのダブルスでも、デュースの際に「私が行く!」と挙手してリターンを打つ場面が幾度かあった。その件に水を向けると——、
「(柴原)瑛菜ちゃんとの時もリターンをやりたかったけれど、まだ自信が無かったので……今回こそはって」
返ってきたのは、照れたような満面の笑みだった。
先の全豪オープンで決勝へと勝ち進んだことで、新たなモチベーションも得たという。
「自分の中ではやっぱり、準決勝を勝って決勝に行けたのはすごく大きくて。決勝では負けてしまったけれど……なんだろう、すごく前向きな結果だったかな。もし今回もベスト4で負けたら、『またダメだった』と思ってしまったと思うので、それに比べたらすごく大きな違いです」
過去3度阻まれたベスト4の壁を越えた事実は、メンタルバリアをも破る。
同時に青山は、「あのペアに決勝で負けて、グランドスラムの優勝にはまだちょっと遠いなとも感じました」と言った。
全豪決勝で戦ったクレイチコワ/シニャコワ組は、青山と柴原が「一番戦いたい相手」と声を揃えた最強ペア。加えるなら二宮にとっても、穂積絵莉と組んだ5年前の全仏オープン決勝で敗れた相手である。
そのような因縁深く尊敬もするクレイチコワは、全豪の優勝スピーチで青山と柴原に向け、「あなたたちと対戦できて光栄。二人の常にポジティブで礼儀正しく真摯な姿に、敬意を抱いています」と言った。
その言葉が、青山の胸を強く打つ。
「クレイチコワ選手が、私たちと戦いたかったと言ってくれて、改めてやっぱりこのペアに勝ちたいって強く思いました。あれほどの選手がそういう風に思ってくれた、見てくれていたというのは、自分の中ですごく励みになって。だから……まだ届かなかったけれど、そこに向けて頑張るエネルギーをすごくもらった大会でした」
初めて至る高みで目にした光景は、まだ見ぬ景色への渇望を掻き立てる。
若き日に築いたベースの上に、瑞々しい感性や向上心を乗せ、彼女は夢へと邁進する。
現地取材・文●内田暁
今回の二宮とのダブルスでも、デュースの際に「私が行く!」と挙手してリターンを打つ場面が幾度かあった。その件に水を向けると——、
「(柴原)瑛菜ちゃんとの時もリターンをやりたかったけれど、まだ自信が無かったので……今回こそはって」
返ってきたのは、照れたような満面の笑みだった。
先の全豪オープンで決勝へと勝ち進んだことで、新たなモチベーションも得たという。
「自分の中ではやっぱり、準決勝を勝って決勝に行けたのはすごく大きくて。決勝では負けてしまったけれど……なんだろう、すごく前向きな結果だったかな。もし今回もベスト4で負けたら、『またダメだった』と思ってしまったと思うので、それに比べたらすごく大きな違いです」
過去3度阻まれたベスト4の壁を越えた事実は、メンタルバリアをも破る。
同時に青山は、「あのペアに決勝で負けて、グランドスラムの優勝にはまだちょっと遠いなとも感じました」と言った。
全豪決勝で戦ったクレイチコワ/シニャコワ組は、青山と柴原が「一番戦いたい相手」と声を揃えた最強ペア。加えるなら二宮にとっても、穂積絵莉と組んだ5年前の全仏オープン決勝で敗れた相手である。
そのような因縁深く尊敬もするクレイチコワは、全豪の優勝スピーチで青山と柴原に向け、「あなたたちと対戦できて光栄。二人の常にポジティブで礼儀正しく真摯な姿に、敬意を抱いています」と言った。
その言葉が、青山の胸を強く打つ。
「クレイチコワ選手が、私たちと戦いたかったと言ってくれて、改めてやっぱりこのペアに勝ちたいって強く思いました。あれほどの選手がそういう風に思ってくれた、見てくれていたというのは、自分の中ですごく励みになって。だから……まだ届かなかったけれど、そこに向けて頑張るエネルギーをすごくもらった大会でした」
初めて至る高みで目にした光景は、まだ見ぬ景色への渇望を掻き立てる。
若き日に築いたベースの上に、瑞々しい感性や向上心を乗せ、彼女は夢へと邁進する。
現地取材・文●内田暁