当時のコーチのスベン・グローネフェルトがダニエルに求めたのは、ベースラインから下がらず、フォアで攻めるテニス。
「今の時代、守りのテニスでは勝てない。太郎には身長がある。リーチもある。もっと攻められる」というのが、名伯楽の見立てだった。
その教えは「攻めるテニスを教わってこなかった」というダニエルにとって、頭では理解できても、身体で表現するのは困難だった。ただ、実際にアルカラスを筆頭とする新時代の波に触れ、ある種の危機感とともに、変わらなくてはと認識する。
心技体全ての改革に取り組んだ末に、かつて弱点だったサービスは、常時200キロを超えるようになった。ポジションを高く保ち、フォアハンドで相手を左右に振り回し、ボレーで決めるポイントパターンも修得した。
今季、世界4位のキャスパー・ルードや、15位のアレクサンダー・ズベレフからもぎ取った勝利も、それら進化したテニスの果実。
今回の全仏初戦でも、今季好調のクリストファー・オコネルに6-0、6-2、6-4で完勝。なお、この日の勝利はダニエルにとり、6年ぶりの全仏オープン白星であった。
先に見据えるアルカラスとの再戦を、2年前の初対戦に投影するように、ダニエルは言う。
「2年前に対戦した時の大会で、彼は優勝して初めてトップ100入りした。それが今は、世界1位。すごく早いなと思うけれど、彼のレベルはその時と今と、多分そこまでは変わっていない。もちろん彼は成長しているけれど、僕も成長している。何かをできるチャンスは全然あると思いながら、入らなきゃいけない試合だと思う」
その口調には、2年の年月がもたらした物への、矜持と自信が色濃く滲む。
「それこそ、全仏で初戦を勝った2017年の僕と、今の僕が対戦したら、1セットも落とさず勝つだろうと思います」とも、ダニエルは断言した。
急速に変容する男子テニスの勢力図の中で、30歳のダニエルは、自身の現在地をどこに記すのか?
それを知る戦いは、現地時間31日午後(日本時間同日深夜)、センターコート“フィリップ・シャトリエ”で幕を切る。
現地取材・文●内田暁
【画像】全仏オープン2023で奮闘するダニエル太郎、アルカラスら男子選手たちの厳選写真!
「今の時代、守りのテニスでは勝てない。太郎には身長がある。リーチもある。もっと攻められる」というのが、名伯楽の見立てだった。
その教えは「攻めるテニスを教わってこなかった」というダニエルにとって、頭では理解できても、身体で表現するのは困難だった。ただ、実際にアルカラスを筆頭とする新時代の波に触れ、ある種の危機感とともに、変わらなくてはと認識する。
心技体全ての改革に取り組んだ末に、かつて弱点だったサービスは、常時200キロを超えるようになった。ポジションを高く保ち、フォアハンドで相手を左右に振り回し、ボレーで決めるポイントパターンも修得した。
今季、世界4位のキャスパー・ルードや、15位のアレクサンダー・ズベレフからもぎ取った勝利も、それら進化したテニスの果実。
今回の全仏初戦でも、今季好調のクリストファー・オコネルに6-0、6-2、6-4で完勝。なお、この日の勝利はダニエルにとり、6年ぶりの全仏オープン白星であった。
先に見据えるアルカラスとの再戦を、2年前の初対戦に投影するように、ダニエルは言う。
「2年前に対戦した時の大会で、彼は優勝して初めてトップ100入りした。それが今は、世界1位。すごく早いなと思うけれど、彼のレベルはその時と今と、多分そこまでは変わっていない。もちろん彼は成長しているけれど、僕も成長している。何かをできるチャンスは全然あると思いながら、入らなきゃいけない試合だと思う」
その口調には、2年の年月がもたらした物への、矜持と自信が色濃く滲む。
「それこそ、全仏で初戦を勝った2017年の僕と、今の僕が対戦したら、1セットも落とさず勝つだろうと思います」とも、ダニエルは断言した。
急速に変容する男子テニスの勢力図の中で、30歳のダニエルは、自身の現在地をどこに記すのか?
それを知る戦いは、現地時間31日午後(日本時間同日深夜)、センターコート“フィリップ・シャトリエ”で幕を切る。
現地取材・文●内田暁
【画像】全仏オープン2023で奮闘するダニエル太郎、アルカラスら男子選手たちの厳選写真!