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海外テニス

望月慎太郎と島袋将がウインブルドンで初の予選突破!異なる道を歩んできた二人の“共通する信念”<SMASH>

内田暁

2023.07.01

高い分析力と戦略性を武器とする望月は、葛藤がありながらも、「貫いてやっていきたい」と語る。(C)Getty Images

高い分析力と戦略性を武器とする望月は、葛藤がありながらも、「貫いてやっていきたい」と語る。(C)Getty Images

 実際には何をもって、順調か、時間が掛かったと見るかは難しい。唯一の確かな指標である本人の皮膚感覚は、「苦しいところもありながら、毎回毎回、少しずつでもすごく成長してる」である。

「着実に成長していると感じていたので、心配はしていなかった」と篤実に語る口調には、プライドと自信の音が響く。

 ただ、「プレースタイルへの自信はずっと変わらなかったか」と尋ねた時の答えに、少しばかりの葛藤がにじんだ。

「そうですね……変わらないように努力しているところもありますけど。そこはもう本当に、貫いてやっていきたいと思っているんで」

 努力している、の言葉は換言すれば、時にぶれそうになる自分への叱咤だろう。

「やっぱり色々と意見がありますし、自分でも考えたり迷ったりは自然と出てきちゃうんで。でもそこを、自分のテニスは何なのかって考えて。やっぱり他の人と違うところがすごい大事なので、そこは今後も、絶対に大事になってくるかなと思います」
 
 そのような望月の信念を裏打ちしてくれたのは、今年2月からコーチに就任した、ダビデ・サンギネッティかもしれない。添田豪やディナラ・サフィナらの指導経験を持つ元世界42位は、「すごく僕のことを信じてくれる」と望月は言う。

 同時に、ジュニア時代はコーチに頼っていた戦術立案も、今は助言を得つつ基本は自分で行なっている。

「試合をするのは自分なので、そこは常に自分がしっかりしたいと考えています」

 その指針が、望月のスタイルに一本芯を通している。

 ジュニア時代の栄光に捕らわれることなく、今大会でも「ここで優勝したというのは他人事のよう」と、感傷に浸ることもない。ただ、己のテニスを貫いたその先で、少年時代にトロフィーを掲げた舞台に戻ってきたのは、決して偶然ではない。
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