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国内テニス

脱ブラック! 部活のコーチを外部委託し、教員の負担は減少、生徒は上達するという好循環を生み出した公立中学の例|前編

スマッシュ編集部

2020.01.02

外部コーチが指導すれば初心者でも卒業時には試合で戦えるほど上達できる。写真:茂木あきら(THE DIGEST写真部)

外部コーチが指導すれば初心者でも卒業時には試合で戦えるほど上達できる。写真:茂木あきら(THE DIGEST写真部)

 この和田中のスタイルを参考に、杉並区は「部活動活性化事業」(顧問が不在でも、専門性の高い指導者が保護者や学校支援本部の協力を得て部活動を行なうこと)を2016年度から正式に開始。2018年の段階で参加校も部活数も増加した。他県でも同様の試みを実施している。

 この事業が広がっている要因は、教員の負担を減らすという目的と同時に、子どもにもメリットもあるからだ。それは単純にテニスがうまくなるということ。誰でも上達するから楽しいと思える、そのシンプルな要求をテニス経験者である外部コーチが満たしてくれるわけだ。

 先生はそのスポーツの知識がなくても顧問になることが多々あるため、生徒を指導するレベルに達するのは困難なのだ。深田コーチも初めて部活を見た時は、3球ラリーが続かないという技術レベルの低さに驚いたと言う。今では初心者で入っても3年後には試合で盛り上がれるほど上達し、大会でも結果を残すようになってきている。
 
 生徒たちにとっても外部コーチの存在は好評で、「コーチは技術面を教えてくれるので成長できます。(テニスが)楽しいです」。「コーチがいると練習メニューが違います。もっと来てほしい」と喜んでいる。

 外部コーチの存在によって、部活内容を一定のレベルに保つことができるのもメリットだ。公立の教員は3~6年をめどに異動があるため、顧問の先生が変わるたびに、部活の練習メニューや雰囲気が変わることになる。例えば、さかんに練習していた部も、翌年には顧問が変われば週末練習がなくなるという状況もありえるのだ。

 教員の負担が減少し、生徒も喜ぶ外部コーチの存在。これほど良いなら、なぜ爆発的に広がらないのか? 次回は外部コーチの課題について考える。

構成●スマッシュ編集部
※スマッシュ2016年7月号より抜粋・再編集

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