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海外テニス

大会の魅力は十分あったATPカップ。身体の負担、女子の意見。新設大会だからこそ生まれる課題にテニス界が迎えようとしている転換期

内田暁

2020.01.13

ブリスベンはATPカップと女子の大会が同時開催となった。ベテランのストサーは、これについて話し合いをしたという。(C)Getty Images

ブリスベンはATPカップと女子の大会が同時開催となった。ベテランのストサーは、これについて話し合いをしたという。(C)Getty Images

 開催地関連でもうひとつ話題となったのは、ブリスベンのグループステージが、WTAの大会と同時期に同会場で行われたことである。ブリスベンには、地元オーストラリアやセルビア、フランス、カナダなど人気チームが集い、そしてATPカップの試合は全て、センターコートで行なわれた。このためWTAのブリスベン国際は、1回戦は全て外のコートに追いやられる形となったのだ。

 その事態は当然ながら、女子選手たちの不興を買う。カロリーナ・プリスコワは「男女でスケジュールをずらすべきだと思う」と言い、マリア・シャラポワは「まるで女子の試合は、ATPカップのお下がりのような扱い」と、一層痛切に批判した。
 
 母国での試合をセンターコートで戦えなかったサマンサ・ストサーも、「やや失礼だ」と主張した一人。ストサーはこの件に関して、テニスオーストラリアのクレイグ・タイリーCEOと、直接、話をしたという。さらにその際に彼女は、タイリーから“WTAカップ”の構想を聞かされた。

 ストサーはそのアイディアを、「とてもエキサイティング」だと歓迎し、大坂なおみも「私はチーム戦も好きよ」と好意的に捉えている様子。だが、ブリスベン国際優勝者のプリスコワは、「確かに面白いかもしれないけれど、私は今のままがいい」と、反対の旗幟を鮮明にした。

 選手評議会会長のジョコビッチは、WTAカップとの共催も視野に入れつつ、ATPやITF、そして新デビスカップの運営主であるコスモス社とも、今後話し合いを持っていくつもりだという。

 2020年という新たな十年紀を迎え、テニス界そのものが、大きな転換期を迎えようとしている。

文●内田暁
 
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