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海外テニス

今年も問題視された全仏OP男女不平等なスケジュール!午前開始の第1試合は女子、ナイトセッションは男子限定<SMASH>

内田暁

2025.06.07

フランステニス連盟は「試合スケジュールの偏りはメディアの都合によるもの」とされるが、どうやら全てがそういう訳ではないことがわかってきた。(C)Getty Images

フランステニス連盟は「試合スケジュールの偏りはメディアの都合によるもの」とされるが、どうやら全てがそういう訳ではないことがわかってきた。(C)Getty Images

 現役選手の中で、この件に関し最も旗幟を鮮明にしたのは、オンス・ジャバーだ。「アラブ人女性」「アフリカ大陸出身者」として数々の歴史を書き替えてきたパイオニアは、ソーシャルメディアに長い声明文を出した。

「決断は往々にして、試合を最初から最後まで見たことがない人によって決められている。『空席だらけ』ばかりが強調され、満席の事実は都合よく無視される」

 そのような書き出しで始まる文章は、「女子が簡単に勝つと『つまらない』と言われ、男子だと『圧倒!』『無敵!』のように称えられる」とも続く。大会運営や報道の決定権を持つ人々の先入観やバイアスが、現状を作っているのだと指摘した。

 さらに6月4日、米国『ニューヨークタイムズ』紙のスポーツ部門を担う『ザ・アスレティック』は、「アマゾンプライムは、ルイス・ボワソン対ジェシカ・ペグラの試合をナイトセッションに希望したが、FFTが拒否した」と報じた。この報道は、これまで「アマゾンプライムの意向」としてきたFFTサイドの発言と齟齬をきたす。なお『ザ・アスレティック』の取材要望にFFTは応じていないという。
 
 これらの話題が過熱するにつれ、女子の元トッププレーヤーたちからは、別の問題提起もなされた。それは、「センターコートの1試合目に組まれているのが、いつも女子」という事実である。1試合目の開始時刻は、午前11時。平日の午前中に人が集まりにくいのは、どの国でも基本変わらない。

 今大会の“レジェンドマッチ”に参戦している元世界9位のアンドレア・ペトコビッチに、「女子のナイトセッションがない件」について尋ねると、次のような答えが返ってきた。

「正直、夜に試合が入らない件は、そこまで問題視していません。女子の試合がすぐに終わってしまう可能性を考慮した時、男子の試合を入れるという判断は理解できるからです」

「ただ、私にとって遥かに大きな“スキャンダル”は、スタジアムの1試合目がいつも女子であること。この方が100倍ひどい問題だと思います。せっかく良いカードが組まれても空席だらけ。スビトリーナ対パオリーニは、素晴らしい試合でした。ココ(・ガウフ)はアメリカで大スターなのに、アメリカでの放送時間的にも1試合目は良くありません。この点がもっと問題視されるべきだと思います」

 実際に2021年以降のセンターコート1試合目を見てみると、各年の大会11日目までの全55試合のうち、男子の試合が組まれたのはわずか2試合だけである。

 大会終盤となり試合数が少なくなるに伴い、ナイトセッションは終了した。今年も、11の放送枠全てが男子、そしてセンターコート第1試合は全て女子のままに――。

現地取材・文●内田暁

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