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海外テニス

「今は、全てが大切に感じる」大坂なおみを逆転で退けた34歳の執念。パブリチェンコワ、病を越えてつかんだ勝利<SMASH>

内田暁

2025.07.06

ジュニア時代から活躍してきたパブリチェンコワも34歳。今は一試合ごとの大切さを実感し、勝利の喜びを深く味わっているようだ。(C)Getty Images

ジュニア時代から活躍してきたパブリチェンコワも34歳。今は一試合ごとの大切さを実感し、勝利の喜びを深く味わっているようだ。(C)Getty Images

 そのような状況もあり、自身に過度な期待を抱かなかったことが、芝シーズンで本人曰く「過去イチ」に良いプレーができている理由だろうか。「近年、より攻撃的にプレーしようとしている」と言ったが、体力面の不安が覚悟としてプラスに働いてもいるようだ。

 加えて大坂との対戦に関しては、「第2セットの途中から、彼女のサーブが読めるようになった」とも言う。

「プレーパターンを分析して、リターンから攻められるようになった。試合が経過するにつれ相手のプレーに慣れたし、今日の私はリターンが良かったので、自分から積極的に仕掛けていくようにした」

 実際にスタッツを見ても、パブリチェンコワの“リターンポイント獲得率”は、第1セットの39%から、第2セット49%、第3セット43%と推移。同時に大坂のダブルフォールトは、第1セットの1から、2、3とセットを追うごとに増える。大坂本人も、「彼女は私のセカンドサーブを叩いてきたので、大切なポイントでダブルフォールトをしてしまった」と、パブリチェンコワのリターンに圧力を感じたことを明かした。
 
 ジュニア時代から注目され、17歳でツアーでも結果を残してきたパブリチェンコワは、34歳を迎えた今、自分の成長や勝利の喜びを、目を輝かせ初初しく語る。その背景にあるのは、「あらゆる状況を大切に思えていること」だと彼女は言った。

「私が”ツアーで一番の若手“だった日が、つい昨日のことのように感じます。あの頃は試合で勝っても、明日も勝つだろうと思っていた。3回戦に勝ち進んでも、『あ、そう』くらいの感じだった。でも今は、全てが大切に感じる。今のテニス界のレベルは本当に高いので、全ての選手を尊敬している。

 今日は2番コートという素晴らしいコートでプレーできて、それもうれしかった。5番コートで太陽を正面に受けながらプレーする難しさや、夜8時に誰からも見向きされずガヤガヤ騒がしい中でプレーする困難は、あまり知られていないこと。私は、あとどれくらいプレーできるかわからないから、全ての試合が大切に感じているんです」

 目の前の一試合、一ポイントを慈しむパブリチェンコワと、「今まで以上の結果」を望んでいた大坂。

 勝敗を決する数ポイントの差を生んだものは、そのような立場や心の有り様の相違だったかもしれない。

現地取材・文●内田暁

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