第1セットのクリステルスは、往時と変わらぬ破壊力溢れるフォアを打つも、その軌道は定まらず、サービスも安定しない。後に彼女はその理由を、「初めてのスタジアムで、夜の練習もほとんどしてこなかった。暗い空とライトでタイミングがつかみにくかった」と明かしている。第1セットを2-6で落とし、第2セットも0-3とリードされた時には、このレベルで戦うのはまだ無理かと思われた…。
だがここから、彼女はかつてのように「試合に入り込み」はじめる。左右に打ち分け相手を振り回すと、身体ごとボールに飛び込むようにフォアを豪快に打ち込んだ。代名詞である攻守一体のスライディングも、時折飛び出し客席を沸かせる。
「自分が支配していると感じるポイントも幾つかあった」という本人の皮膚感覚は、見ていた者たちの客観的な印象でもあっただろう。追いつき、再び突き放されそうになっても食らいつき、第2セットはタイブレークにもつれ込む接戦に。
最後は、ムグルサのサービスで終止符が打たれたが、その姿は彼女が当面の目標に掲げた、「ツアーレベルで戦える地点」に戻っていることを示すに十分だった。
「負けたかもしれないが、この試合は私にとって、すでに一つの勝利でもある」
試合後の彼女はSNSに、そのようなメッセージを綴っている。
復帰の決意を公にした時、彼女は「私は、他人に何かを証明したいとは思っていない」と言っていた。それでも2度目の復帰戦で、クリステルスが世に証明したことがある。それは、今の彼女は解説者でもレジェンドでもなく、紛れもないテニスプレーヤーだということだ。
文●内田暁
【PHOTO】ボールがつぶれ、フェイスがたわむ! 3/1000秒の瞬間を捉えたスーパーインパクト集!!
だがここから、彼女はかつてのように「試合に入り込み」はじめる。左右に打ち分け相手を振り回すと、身体ごとボールに飛び込むようにフォアを豪快に打ち込んだ。代名詞である攻守一体のスライディングも、時折飛び出し客席を沸かせる。
「自分が支配していると感じるポイントも幾つかあった」という本人の皮膚感覚は、見ていた者たちの客観的な印象でもあっただろう。追いつき、再び突き放されそうになっても食らいつき、第2セットはタイブレークにもつれ込む接戦に。
最後は、ムグルサのサービスで終止符が打たれたが、その姿は彼女が当面の目標に掲げた、「ツアーレベルで戦える地点」に戻っていることを示すに十分だった。
「負けたかもしれないが、この試合は私にとって、すでに一つの勝利でもある」
試合後の彼女はSNSに、そのようなメッセージを綴っている。
復帰の決意を公にした時、彼女は「私は、他人に何かを証明したいとは思っていない」と言っていた。それでも2度目の復帰戦で、クリステルスが世に証明したことがある。それは、今の彼女は解説者でもレジェンドでもなく、紛れもないテニスプレーヤーだということだ。
文●内田暁
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