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海外テニス

【レジェンドの素顔9】トップ3から陥落し、全米OPで3回戦負けを喫したコナーズの決意│後編<SMASH>

立原修造

2021.08.13

どんなことがあってもやめられない。コナーズの決意は強くなる一方である。写真:THE DIGEST写真部

どんなことがあってもやめられない。コナーズの決意は強くなる一方である。写真:THE DIGEST写真部

 その分野で、能力を発揮できると信じ、最後までチャレンジするのがアメリカ魂だ。コナーズはまだランキング8位。トップレベルもいいところだ。

 典型的なヤンキー気質を持ったコナーズがあっさり引退してしまうなど、とても考えられない。何よりもアメリカのテニスプレーヤーは選手生活が長いことで有名である。

 ビル・チルデンがウインブルドンで最後の優勝を飾ったときは37歳だったし、パンチョ・ゴンザレスがウインブルドンで22-24、1-6、16-14、6-3、11-9という大会史上最長の激闘を戦い抜いたのは41歳のときだった。主婦の立場であるキング夫人でさえ、40歳を過ぎてもなお現役に固執した。

 アメリカとは、そういう国なのだ。コナーズとて、テニスが嫌になってさっさとやめていったボルグあたりとは性根が違うはずだ。
 
 86年ウインブルドンでロバート・セグソに1回戦負けを喫したあとの記者会見は重苦しい雰囲気になった。英国の大衆紙記者はきまって愚かな質問をする。「これで引退は早くなるのか」と聞いたのだ。

 その瞬間、怒り心頭に発したコナーズ。

「お前たちは、なんでオレをテニス界から追い出そうとするんだ!」

 激しく質問者を一喝した。この気迫さえあれば、コナーズは大丈夫である。しかも、現在のアメリカの男子テニス界は最悪の状況にある。ぜひともマッケンローやコナーズにがんばってもらわないと、栄華を誇ったアメリカンテニスの火が消えてしまう。コナーズはまだ引退するわけにはいかないのだ。

「それにしても、ローズウォールは偉大だったなあ」

 コナーズは、しみじみとそう考えている。ローズウォールは39歳という年齢で、ウインブルドン、全米オープンの決勝に進出した。それがどんなに大変なことであるか、34歳になったコナーズは、今になってわかるのである。

―――もう一度、全米オープンの決勝に出たい。それまでは、どんなことがあってもやめられない。87年を迎えて、コナーズの決意は強くなる一方なのである。

~続く~

文●立原修造
※スマッシュ1987年4月号から抜粋・再編集

【PHOTO】ボルグ、コナーズ、エドバーグetc…伝説の王者たちの希少な分解写真/Vol.1
 
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