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海外テニス

ツアー最高峰の舞台で選手の練習相手を務める日本人留学生。人と人との縁が紡いだ数奇な体験<SMASH>

内田暁

2022.03.20

米国での留学生活を通して様々な経験を積んでいる石川さん。ツアーコーチを目指しつつ、プロへの夢も膨らんできた。写真:本人提供

米国での留学生活を通して様々な経験を積んでいる石川さん。ツアーコーチを目指しつつ、プロへの夢も膨らんできた。写真:本人提供

 テイラー・フリッツは今大会でも決勝に進出しているアメリカ男子ナンバー1選手。そのフリッツも「父親が近くの大学のコーチなので、子どもの頃からここにはよく来ていた」と明かすほど、フリッツ家とこの大会の結びつきは強い。

 そのような縁もあり、カレッジ・オブ・デザートの学生がヒッティングパートナーを務めるのは、言わばこの大会の伝統。コーチたちの「絶対に経験しておけ!」という強い勧めもあり、石川さんもほぼ毎日、会場に足を運んでいる。

 世界のトップの選手たちの試合を間近で見た時、石川さんが最初に思ったのは、「動画で見て感じていたのより、ボールのスピードは速くないな」だった。

 ただ、ミスがない。そして、タイブレークなどの緊迫の場面になるほどプレーのレベルが引き上げられるのは、見て明らかだった。
 
 さらには、西岡良仁と打ち合い肌身で感じたのが、「ボールの質が高い」ということ。

「やっぱり単純に球の質がすごい、重い。もう1人のコーチと一緒に2対1で打っていたんですが、西岡選手はミスしないし、自分が打ち損じてもコートにボールが返ってくるので、全然違うなって。見てる分には軽く飛んでいるように見えても、実際に打つと、グッと手元で伸びてきたり、跳ねた後の変化だったりがすごかったです」

 それらの経験は石川さんに、ツアーコーチという最終的な目標とともに、「自分もプロに挑戦したい」との意欲をたぎらせもした。

「こっちに来て初めてトッププロと触れ合うことができた。もっとついていけないのかなと思っていたけれど、ラリーもできて、頑張ればチャンスはあるのかなと。こういう環境があるので、もっと吸収していきたい。

 大学であと1年半やって、しっかり結果が出せそうだったらフューチャーズにもチャンレンジしていきたい。2年目から、プロでやるかどうかは考えていきたいと思います」

 人と土地の縁に導かれ、得られた大きなチャンスと気付き。それらを紡いで、夢の輪郭を描いていく。

現地取材・文●内田暁

【PHOTO】インディアンウェルズで決勝進出のフリッツ。ハイスピードカメラによる『30コマの超分解写真』
 

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