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国内テニス

「未来を担う若者たちに夢とチャンスを与えたい」全豪オープンジュニア出場権争奪戦が果たす大きな役割<SMASH>

内田暁

2023.11.17

一時は全豪への道を閉ざされた20年大会優勝の原﨑朝陽(左)と木下晴結(右)であったが、22年大会でチャンスを得ると各々が結果を出した。写真提供:住友ゴム工業株式会社

一時は全豪への道を閉ざされた20年大会優勝の原﨑朝陽(左)と木下晴結(右)であったが、22年大会でチャンスを得ると各々が結果を出した。写真提供:住友ゴム工業株式会社

 ワイルドカードを得た原崎と木下の二人は、わずかに開いたこの扉を、自らの力でこじ開ける。二人揃って、予選を突破し本戦出場。これがグランドスラムジュニアデビューとなった木下は、以降は全ての四大大会ジュニアに出場し、今年はダブルス準優勝にも輝いた。

 そのような紆余曲折を経て可能となった22年の選手派遣だが、実はこの時の全豪ジュニアそのものも、存在しなかった可能性も高かったという。

 オーストラリアテニス協会ジュニア大会の運営責任者であるフランシス・ソイヤー氏が、その役職に就いたのは21年。同年の全豪オープンそのものは、厳格なコロナ対策を講じ開催された。だが、ジュニア部門は中止。ゆえにソイヤー氏にとって、22年のジュニア部門開催は悲願でもあった。

「21年のジュニア部門が中止になったからこそ、私にとっては、翌年の全豪ジュニア開催は大きな使命でした。21年は、政府のコロナ対策が状況によって日々変わるため、多くのジュニア大会が直前で開催中止になることもありました。ジュニア選手たちにとって非常にフラストレーションの溜まる日々が続いていただけに、22年にはどうしても全豪ジュニアを開催したいと思っていたんです」
 
 そのような関係者たちの情熱があったからこそ、昨年の全豪オープンジュニア部門は開催され、そして選手はチャンスを手にした。21年11月の「Road to AO」が開催された当時、木下晴結のジュニアランキングは300位台。そこから1年3カ月後には20位を記録し、一般のWTAランキングでも木下は、今年5月に623位に達している。
 
「未来を担う若者たちに夢とチャンスを与えたい」と願う人々がつなげた、日本からオーストラリアへの道。その架け橋を駆け抜けた者たちは、メルボルンを足掛かりに、今やより広い大海原へと旅立っていった。

取材・文●内田暁

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