19歳の大脇結衣は、JWT50主催大会を経て、WTAランキングデビューを果たした一人である。その大脇を、今回の東京大会初戦で破った吉田紗良は、まだ14歳。ワイルドカード選手権を制し、自らの手で出場枠を勝ち取った。
現在、町田ローンテニスクラブで杉田祐一氏の指導を受ける吉田は、「今はITFジュニアに出てますが、14歳になったので、大人の方をメインでやっていこうとみんなで話しています」と言った。
「夏に札幌でもW15が2大会あるので、そこでもポイントを取り、10月くらいにはWTAランキングを取りたい」
それが、吉田が描く青写真。WTAランキングを得るには、ITF3大会でポイントを取る必要がある。そのことを念頭に入れた上での発言だ。
「みんな頑張ってはいるけれど、ただ我武者羅に毎日頑張るのと、目標がポンと上に見えていて、そこに続く道を進むために頑張るのでは、同じエネルギーを注いでいても全く結果が違ってくる。そこが、自分たちがやってきたことで、一番、意義があるなというふうに思います」と杉山氏は言う。
その言葉は、シングルス8位、ダブルスは1位に座した杉山氏を筆頭に、世界の高みに至った人々が口にするからこそ、圧倒的な説得力を帯びる。
日本のテニス史を紡いできたレジェンドたちが、ボールと言葉で若手選手と交わすラリー。その軽やかな打球音が、未来へとこだまする。
取材・文●内田暁
【PHOTO】ITFツアー「W15東京 大東建託オープン」西郷里奈、秋田史帆ら上位選手のプレー集
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