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国内テニス

テニスの常識が通用しない伊藤あおい、その型破りな魅力をテニス漫画家KASA氏が徹底分析「人生について考えさせらた」<SMASH>

スマッシュ編集部

2025.03.16

あくまでも“自分流”を貫く伊藤選手のランキングは現在日本女子3番手をマークしており、3月12日に発表された「BJK杯」(女子国別対抗戦)の日本代表メンバーに初選出されている。写真:THEDIGEST写真部

あくまでも“自分流”を貫く伊藤選手のランキングは現在日本女子3番手をマークしており、3月12日に発表された「BJK杯」(女子国別対抗戦)の日本代表メンバーに初選出されている。写真:THEDIGEST写真部

■ノートレーニングについて

 伊藤選手との対談でハッとした瞬間がありました。それが「トレーニングって本当に勝ちにつながりますか?」というものでした。確かにトレーニングをして、逆に身体を壊す人がいたり、動きが固くなったり、マイナス面もあります。

「ショットの威力」ではなく、「相手の能力を下げて」主導権を握ることを考えている伊藤選手にとって、最大出力を目的とした意識的に作られたフォームや筋肉ではなく、結果的に作られたフォームや日々の試合や練習によってついた筋肉や動きの方がもっとも自然である、そう考えると私はすごく納得ができました。

■オセロで鍛えられた思考力

 伊藤選手はとにかく多趣味で、絵を描いたり、漫画を読んだり、オセロ(ボードゲーム)をやるそうです。特にオセロは、定石を学び、対局後の分析までする徹底ぶり。オセロは先手が有利らしく、後手は不利。後手になった場合は、「いかに定石を外すか」「虚をつくか」という視点で戦わないと強い相手には勝てないそうです。まさにその思考こそ、伊藤選手のテニスの根本であり、強さの根源であると感じました。
 
■対談後の感想

 対談後の帰り道、私はなぜか人生について考えさせられました(笑)。

「何かを得れば何かを失う」、「多くの人がやっていることが、本当に自分にとって必要なことなのか?」、「原稿作業に追われる毎日で、大切なことを見失っているのではないか?」

 なぜそのようなことを考えるようになったのかと言うと、それはつまり自分の中で凝り固まっていた「常識」という固定概念が、伊藤選手の対話の中で、少し壊されたからだと、数日後にふと気づいたからでした。

 これはきっと漫画にも良い影響があるに違いないと、ネーム(漫画の設計図)に取り掛かり担当編集に提出すると、3度の全ボツ――。

 私は何かを得て、何かを失ったのかもしれません。

取材・文●KASA

KASA(カサ):高校テニスを題材にした漫画『BREAK BACK』(秋田書店)の著者。名手ギレルモ・コリアに憧れアルゼンチンに武者修行に行き、コリア本人から直接指導を受けた経験を持つ。選手活動とコーチ業を経て、現在は漫画家としてテニスの魅力を伝えている。

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