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海外テニス

17歳の園部八奏、元全豪女王ケニンに敗れるも堂々の内容!プロ転向2大会目で見せた成長の証<SMASH>

内田暁

2025.10.24

2020年の全豪オープン女王で元世界4位のケニンと互角の戦いを演じた17歳の園部八奏はフルセットの末に敗れたものの大きな可能性を示した。写真:金子拓弥(THE DIGEST 写真部)

2020年の全豪オープン女王で元世界4位のケニンと互角の戦いを演じた17歳の園部八奏はフルセットの末に敗れたものの大きな可能性を示した。写真:金子拓弥(THE DIGEST 写真部)

 6-3、1-6、6-7のスコア、2時間18分の熱闘から、約30分後――。

 会見室で記者たちを前に、彼女は虚空を、じっと凝視していた。

 試合の感想を求められ、「勝ちたかった。惜しかったので」と絞り出すと、目からは涙がこぼれ落ちる。女子テニスツアー「東レパンパシフィックオープン」の、シングルス2回戦。現世界25位、2020年全豪オープンチャンピオンのソフィア・ケニンに挑み惜敗した、17歳の園部八奏(そのべわかな)の、率直な思いだった。

 今年の全豪オープンジュニア部門を制し、ジュニア世界ランキング1位にも座した園部が“プロ転向”したのが、10月8日。先週のジャパンオープンに続き、今大会が書面上では、園部の“プロ2大会目”である。

 ただ実際には1月の全豪ジュニア以降、園部はジュニア大会には一切出ずに、大人――、すなわちプロの大会に完全に移行してきた。その意味では彼女はこの10カ月間、既にプロ意識を抱き戦ってきたと言える。

 日本テニス界の聖地と呼ばれる有明コロシアムで、グランドスラム優勝者をネットの向こうに回しても硬さもおびえも一切ないのは、それら備えがあってこそだ。1ポイント目から得意のリターンを叩き込み、オープンコートを視野に捉えれば、迷いなく強打を打ち込んでいく。左腕から打ち込むサービスもコース、球種、威力を自在に組み合わせ、豊富なバリエーションで相手に狙いを絞らせない。
 
 ケニンは園部の心身を揺さぶるべく、ドロップショットも多用したが、それらにも徐々に対応。実はこのドロップショット対策も、園部がここ最近、集中的に取り組んできたことだという。プロの大会に出れば、若い園部との打ち合いを避け、前のスペースを巧みに用いる熟練の選手も多い。

「相手の浅いボールに対し、足を動かして前に入り打ち返す練習を、最近はやってきた」というのは、プロ転向時に園部が語っていたこと。その成果を伸び伸びと、彼女はセンターコートに描いていた。

 2つのブレークを奪い去り、さっそう手にした第1セット。ただもちろん、そのまま走らせてくれるほど、多くを経てきた26歳は甘くない。第2セットでのケニンは、スライスやロブなど一層多彩な球種を用い、園部を前後左右に振ってくる。

「色んなショットを打つのは、私のいつものスタイルではある。ただ今日は、より多くの球種を混ぜていく必要があると思っていた。ワカナのストロークは威力があるし、時に信じられないようなウイナーを打ち込んできたから」

 後にケニンが振り返る。一方で園部は、「第2セットは相手が良いプレーをしてきたし、私はエネルギーが落ちてきた」と明かした。
 
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