テニスの不正行為を監視する独立機関「国際テニス・インテグリティ・エージェンシー」（ITIA）は12月11日に公式サイトを更新し、フランス人男子テニス選手のクエンティン・フォリオ（元488位／現ランキングなし）に対し、20年間の出場停止処分と7万ドル（約1100万円）の罰金、さらには不正行為によって得た4万4000ドル（約680万円）の返還命令を科したと報告した。

　今回科された処分は、26歳のフォリオがテニス不正防止規定（TACP）に対する27件もの違反を犯していたことによるもの。ITIAの調査により、賭博目的で試合操作に関与する不正ネットワークの中核を担っていたことが判明した。

　その結果フォリオは、ジェイミー・フロイド-アンジェル（元463位）、ポール・バルセッキ（元1054位）、ルク・フォンバ（元967位／現1781位）、ルーカス・ブケ（元478位／現770位）、エンゾ・リモリ（複元2267位）に続き、同じ調査で制裁を受けた６人目のフランス人選手となった。

　2022年８月にシングルス世界ランキングで自己最高の488位を記録したフォリオは、22年から24年の間に行なわれた計11試合に関連した30件の違反を問われていたもののいずれも否認。このうち８試合はフォリオ自身が出場した試合だった。

　違反内容には、試合結果の操作、賭博目的で全力を尽くさない見返りとして金銭を受け取る行為、他の選手に八百長を持ちかける行為、内部情報の提供、汚職への関与、ITIA調査への非協力、証拠の破棄などが含まれていた。
  　フォリオに対しては25年10月20日と21日の２日にわたり、アマニ・カリファ独立不正防止審理官（AHO）のもと、リモート審理が行なわれた。審理の結果、上記30件中27件の違反が認定され、その27件は先述の11試合のうち10試合に関連したものと判断された。一方、24年１月に行なわれたダブルス戦に関する「内部情報の提供」「不正行為の報告漏れ」「試合結果の操作」の３件については棄却された。

　25年12月１日付の決定書において、カリファ審理官はフォリオを「より広範な犯罪組織の媒介者であり、他の選手を積極的に勧誘し、プロテニス界により深く不正を根付かせようとした人物」と評した。制裁決定にあたっては、フォリオがITIAの調査を故意に妨害したという悪質性も考慮されている。

　すでにフォリオは24年５月17日から暫定的な出場停止処分を受けており、この期間は今回科された資格停止期間に算入される。未払いの罰金の完済を条件に、出場停止処分は2044年５月16日に終了する予定だ。なお資格停止期間中、フォリオはITIAの規制下にあるテニス主要団体（ATP、ITF、WTA、オーストラリアテニス連盟、フランステニス連盟、ウインブルドン、USTA）や、その他の各国協会が承認または主催するテニスイベントにおいて、プレー・コーチング・会場への立ち入りが禁じられる。

文●中村光佑

【画像】フランス選手フォリオの20年間出場資格停止を伝えるITIAの公式X

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