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海外テニス

約2年半ぶりにシングルス復帰の元19位チョン・ヒョン。内山に惜敗するも「自分のプレーに満足」と手応え<SMASH>

中村光佑

2023.05.11

韓国の英雄、チョン・ヒョンがカムバックを果たした。「また海外ツアーに挑戦する」と闘志を燃やす(※写真は20年全仏)。(C)Getty Images

韓国の英雄、チョン・ヒョンがカムバックを果たした。「また海外ツアーに挑戦する」と闘志を燃やす(※写真は20年全仏)。(C)Getty Images

 先月末に男子テニスツアー下部大会「ソウル・チャレンジャー」(韓国・ソウル/ハードコート/CH)で2年7カ月ぶりにシングルスでの実戦復帰を果たした元世界ランク19位のチョン・ヒョン(韓国/26歳)が、ATP(男子プロテニス協会)公式サイトのインタビューに登場。再び実戦のコートに戻れた喜びを語るとともに、今後の転戦プランを明かした。

 強靭なフットワークを武器に持つチョンはキャリアの初期から注目を集めた選手だった。21歳で出場した2017年の「Next Gen ATPファイナルズ」では、ダニール・メドベージェフ(ロシア/現3位)ら現在も世界のトップに君臨する次世代の逸材たちを次々と撃破して全勝優勝を飾り、テニス界に衝撃を与えた。

 また翌18年の全豪オープンでは準々決勝でノバク・ジョコビッチ(セルビア)をストレートで破る番狂わせを演じるなど怒涛の快進撃を見せ、韓国人選手として初の四大大会ベスト4入りを達成。同年4月には自己最高位の19位をマークし、アジア人選手の代表格としてツアーを席巻するのではないかと期待されていた。

 ところがその後は度重なるケガに行く手を阻まれる。20年9月末の全仏オープン予選2回戦を最後に戦線離脱、21年1月には腰の手術を余儀なくされた。それでも懸命なリハビリを経て同年8月にコート練習を再開したチョンは、昨年9月の「韓国オープン」(ATP250)において同胞のクォン・スンウ(現95位)と組んだダブルスでついに復帰。しかし本命のシングルスでは復帰の見通しが立たず、もどかしい日々を過ごしていた。
 
 ようやくシングルスでも再スタートを切ったソウルCHの1回戦ではジョーダン・トンプソン(オーストラリア/80位)にストレート負けしたチョン。今週も「釜山オープン」(韓国・釜山/ハードコート/CH)に出場したが1回戦で内山靖崇(240位)に3-6、7-6(3)、2-6のフルセットで敗れ、残念ながら復帰後初勝利はならなかった。

 試合後の会見でチョンは内山戦を振り返り、少々悔しさをにじませながら「勝てなかったのは残念」とコメント。一方で2時間35分にも及ぶタフマッチをケガなく終えられたことに安堵の表情を見せた。

「2時間以上の試合を戦えたから、自分のプレーにはとても満足している。違和感やケガなく試合を終えたこと、そして最後の1ポイントまで全力を尽くせたことを自分で褒めたいと思う。今日最も着目すべきは、2時間以上にわたり競った試合をしたことだ。日々2時間以上のトレーニングはしていたが、これだけの長さの試合は(復帰後)初めてだった」

 加えてチョンはケガの再発防止策の一環として「サービスのフォームを変えた」と明かす。具体的には腰を反らさず、打つ直前まで腕を目一杯上げて直立の姿勢を保つというもの。「それが最もケガをしにくく、不快感を与えないモーションなんだ。今は非常にパワフルなサービスを打つことよりも、ケガをしないことの方がずっと重要だ」と説明した。

 今後のスケジュールについては「現状国内でプレーできる試合はない。海外の大会予定とプロテクトランキングを確認し、できるだけ多くのツアーに出場できるようにしていく」と述べるにとどめたチョン。「また海外ツアーに挑戦することは間違いないだろう」と締めくくった。

文●中村光佑

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