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海外テニス

昨年大会でウインブルドンが科した出場禁止措置をルブレフが批判「僕たちにさらにひどいことをしただけだ」<SMASH>

中村光佑

2023.07.04

ウインブルドンが現在もロシアに対して様々な制限を課す中、ルブレフは母国のテニス普及に意欲を示している。(C)Getty Images

ウインブルドンが現在もロシアに対して様々な制限を課す中、ルブレフは母国のテニス普及に意欲を示している。(C)Getty Images

 いよいよ戦いの火ぶたが切って落とされたテニス四大大会「ウインブルドン」(7月3日~16日/イギリス・ロンドン/芝コート)。既報の通り今年の同大会は、いまだにウクライナ侵攻が収束していないにもかかわらず、一定の条件(中立宣言書への署名など)のもとで前回大会出場を禁じられたロシア・ベラルーシ人選手の参加を認めている。

 無事テニスの聖地に戻ってこられたことを大いに喜んでいるのが、ロシア国籍で今大会に第7シードとして出場している男子世界7位のアンドレイ・ルブレフ(25歳)だ。大会初日の現地7月3日には早速シングルス1回戦に登場し、同64位のマックス・パーセル(オーストラリア)と対戦。リターンゲームで計5度のブレークに成功するなど終始試合の主導権を握り、6-3、7-5、6-4で勝利して2年ぶりの初戦突破を果たした。

 試合後の記者会見でルブレフは開口一番「またここ(ウインブルドン)に戻ってこられてうれしいよ」とコメント。「最高のトーナメントの一つであるウインブルドンでプレーするためにロンドンに戻ってくることができて本当に特別な気分だし、本当に幸せだ。今日勝てたのは素晴らしいことだ」とうれしさをあらわにした。

 一方でかねてから勝者恒例のカメラサインやインタビューを通じて反戦の意を示し続けてきたルブレフは、前回大会の出場禁止措置について言及し、「あの決定はいまだに納得がいかない」と強調。「出場禁止の措置は特に何の効果もなかった」と自身の見解を示したうえでウインブルドン主催側に対する批判の言葉を淡々と口にした。
 
「もし我々がテニスを助けたい、あるいはテニスにとってより良いことをしたいのであれば、出場を禁じることよりも良い選択肢があったと思う。結局は何も変わらなかったのだから。彼ら(大会主催側)は僕たちにさらにひどいことをしただけだ」

 海外メディア『UBITENNIS』によると、ウインブルドンを主催するAELTC(オールイングランド・ローンテニス&クローケークラブ)は、昨年大会の出場禁止措置に伴う同大会の放送権削除をはじめ、現在も軍事攻撃を辞さない構えを見せ続けるロシアに対して様々な制限を科しているという。そのため同国はテニスの普及という点で大きな課題に直面しているが、ルブレフは自分がその役割を果たしたいと意気込んでいる。 

 会見の最後にルブレフはウインブルドンを含め最高峰の四大大会に出場できるありがたみを語るとともに、「母国の人々がテニスに触れる機会が増えてほしい」との願いを明かした。

「ウインブルドンはいつでも特別だし、四大大会でプレーするのは常に特別なものになる。満員のスタジアムを見ることも、いつでも特別な気分になる。僕の国でも、テニスの人気がもっと高まることを願っている。彼ら(ロシア国民)がテニスを観戦する機会がもっと増えてほしい。ただそれは僕たちロシア人選手の成績次第と言えるだろう」

 2回戦ではアスラン・カラチェフ(世界50位)との同胞対決に臨むルブレフ。悲願の四大大会初優勝へ向け、ここから先も負けられない戦いは続いていく。

文●中村光佑

【PHOTO】ルブレフはじめウインブルドン2023で熱戦を繰り広げた男子選手たちの厳選写真を公開!

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