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海外テニス

「フィットするラケットを見つけるのが難しいから…」ルブレフがラケットを叩き折らずに自分のヒザを殴打する意外な理由<SMASH>

中村光佑

2023.11.30

ラケットの選り好みが激しいルブレフは、叩き壊して新たに探す面倒を避けるために、自分のヒザを殴打しているという。(C)Getty Images

ラケットの選り好みが激しいルブレフは、叩き壊して新たに探す面倒を避けるために、自分のヒザを殴打しているという。(C)Getty Images

 ラケットを鋭く振り抜く力強いテニスを軸に、ATPツアーで14勝を挙げている世界ランク5位のアンドレイ・ルブレフ(ロシア)。そんな彼は試合中に思い通りのプレーができないと自分自身を制御できなくなり、そのイライラを発散するためにラケットで自身のヒザを強く叩くシーンがたびたび見られる。

 とりわけ先のシーズン最終戦「Nitto ATPファイナルズ」での“ヒザ叩き”は少々ショッキングなものとなってしまった。

 カルロス・アルカラス(スペイン/2位)とのラウンドロビン(総当たり戦)第2戦で第1セットを落としたルブレフは、第2セット第1ゲームで40-15のリードから自身のミスによってサービスダウン。怒りを爆発させた彼は、プレーを終えてベンチに戻る際にラケットで6度にわたり自身の左ヒザを力いっぱいに殴打。ベンチに腰掛けた際には左足から血が滴り落ち続けた。

 選手が試合中に苛立ちをあらわにする際、ラケットを投げる、もしくは破壊することが多いが、なぜルブレフは一歩間違えれば大ケガにもつながりかねないヒザ叩きを繰り返すのか。そこには意外な理由があった。ルブレフは先日応じたロシアメディア『Championnat』の取材でヒザを叩く理由は2つあるとして、まずこう説明したのだ。
 
「ラケットに配慮しているのさ。僕はラケットを選り好みするから、本当に気に入ったラケットを見つけるのが難しいんだ。同じモデルでも、15本あるうち自分に完璧にフィットするのは2、3本しかない。だからラケットを投げるのは嫌なんだ。もし壊れたらまたずっとラケットを探さなくてはいけなくなるからね(笑)。だからヒザを叩く方がいいと思っている」

 2つ目の理由については、テニスへの情熱が強すぎるが故の行動だとコメント。「怒りっぽくなると、その後は罪悪感に襲われる。そういう感情表現は必要ないとわかっているし、何の役にも立たないこともわかっているけど…」としつつも、試合中はどうしてもコントロールが効かなくなってしまうことがあるそうだ。

「自分に対して強い怒りを感じ、何をすればいいのかわからなくなることがある。そんな時は、『目を覚ませ! 試合は30分前から始まっているぞ!』と自分に言い聞かせながらヒザを叩いている。ただ、その瞬間は状況をどう打開すれば良いのかわからない。怒りは勝利への意欲から来ているが、時折それが悪い方向に行ってしまう。欲しいものが手に入らない時、それを頭の中で受け入れられない。自分自身への期待がそういった感情を引き起こす、それだけのことだ」

 もはや“シンボル”にもなりつつあるルブレフのヒザ叩き。ただそれを見ているファンはできることなら自分の身体は傷つけてほしくないと思っているかもしれない。来季は少しでもその頻度が減ることを願いたい。

文●中村光佑

【動画】ATPファイナルズでルブレフが自身のヒザにラケットを6回も叩きつけたシーン

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【連続写真】ルブレフの必殺ショット、思い切り打ち抜く回り込みフォアハンド
 
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