男子テニス元世界ランク１位のラファエル・ナダル（スペイン／現663位）がATP（男子プロテニス協会）公式サイトのインタビューに登場。ヨルダン出身で自身に憧れを抱く20歳のアブドゥラ・シェルバイ（世界185位）に対し、「天性の才能を持った選手」と称賛の言葉を口にした。

　シェルバイの名前を初めて聞いたテニスファンも多いかもしれない。だが彼はすでに頭角を現している注目選手の１人だ。

　14歳からスペイン・マヨルカ島の「ラファエル・ナダル・アカデミー」を拠点に鍛錬を積んできたシェルバイは、子どもの頃にナダルへの憧れから、元々右手だった利き手を左手に変更。昨シーズンにプロ転向を果たして以降著しい成長ぶりを見せており、今年10月にはアメリカ・チャールストンで行なわれた下部大会「LTPチャレンジャー」（ハードコート）でヨルダン人選手として初となるチャレンジャー優勝を達成した。

「ラファエル・ナダル・アカデミー」を運営するナダルは、かねてから同アカデミーの卒業生であるシェルバイに大きな期待を寄せていたと明かす。「アブドゥラのことを説明するには、彼の才能を分析する必要がある」と切り出したナダルは、シェルバイの能力の高さをこう称賛した。
  「彼は非常に特別な天性の才能を持った選手で、他の人にはできないことができるプレーヤーだと思う。彼のプレースタイルは、対戦相手に非常に不快な思いをさせる。僕は彼と一緒に何度もトレーニングしたことがあるから知っているんだ」

　そして改めて順調に成長を遂げている20歳の若獅子を「この１年半で彼はテニスにおいて一歩前進した」と評したナダルは、“努力家”であるシェルバイの成功を願っているとコメント。

　最後にはシェルバイが21歳以下のシーズン最終戦「Next Gen ATPファイナルズ」（11月28日～12月２日／サウジアラビア・ジッダ／ハードコート／FIN）にワイルドカード（主催者推薦）で出場していることに言及し、心からのエールを送った。

「僕は彼のテニスへの献身を祝福するとともに、彼がその道を歩み続けることを応援することしかできない。彼は非常にポジティブなシーズンを過ごし、ランキングを上げた。Next Genファイナルズでの幸運を祈っている。彼にとって非常に特別な大会になると確信している」

　シェルバイは現地28日に実施されたラウンドロビン（総当たり戦）初戦で19歳のルカ・バン・アッシェ（フランス／70位）に3-4(5)、4-3(5)、1-4、1-4で敗れた。それでもまだ準決勝進出のチャンスは残っており、ここからの巻き返しを期待したい。

文●中村光佑

【動画】「Next Genファイナルズ」第１日のシェルバイのプレー（２分55秒頃より）

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