専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
海外テニス

【伊達公子】グランドスラムはツアー大会とは緊張感も準備の仕方も違う<SMASH>

伊達公子

2024.05.31

グランドスラムには「自分のベストパフォーマンスを出せる状態にして臨みましょう」と言う伊達公子さん。写真:THE DIGEST写真部

グランドスラムには「自分のベストパフォーマンスを出せる状態にして臨みましょう」と言う伊達公子さん。写真:THE DIGEST写真部

 現在、グランドスラムの1つである「ローランギャロス」が開催中です。年に4回あるグランドスラムは、通常のテニスツアーの大会とは色々な面で違います。期間が2週間と長く、会場の施設も大きく充実しています。テニス選手にとって目標の場所なので強いエネルギーが集まっているため精神的な疲労度が大きく、気持ちがたかぶりやすくケガをしやすくもなります。

 ウインブルドンの会場で、大会前にケガをして出場できなくなったことがあったので、私の場合は気持ちがたかぶって練習をしすぎないように心掛けていました。前哨戦の状況にもよりますが、基本的にはグランドスラムの場合、大会開始の3、4日前には会場に入ります。木曜日と金曜日は会場で練習してボールとコートに慣れて、1日オフを取り、日曜日は半日練習にするという感じです。ツアー大会ではここまでしっかり準備期間を取れないことが多いです。

 この期間は練習や準備など色々なことを考えなくてはいけないので、精神的に疲れます。同じ大会でもその年の空気感がありますし、自分の調子も違います。その空気感に順応するようにして、自分の身の置き場所を作ることで、リズムができてきます。毎回状況が違うので、これに神経を使いますね。
 
 ドローが出る時は他の大会よりも緊張します。対戦相手がわかったら、戦術面での準備も開始です。ワイルドカードや予選上がりの選手の場合は、知らないこともあるので情報収集から始まります。どういうプレーが効果的で、どういう選手との対戦では競っているのかなどの傾向を見て、自分がどうプレーしようかをイメージして練習します。予選上がりの選手はすでに3回試合をしていて、大会の空気感に慣れていますし、調子は良く勢いもあるので危険です。1回戦の相手としては、やりづらい相手ですね。

 セカンドキャリアの時は、なぜか初戦でシードと当たることが多かったです。シード相手だとノンプレッシャーで臨めますし、やることを決めて実行するしかないという覚悟を持てます。初戦だとシード選手の調子もまだ上がっていないため、対戦するなら1回戦で当たりたいと思わなくもないですが、厳しいドローであることに変わりはありません。ただ、2、3回戦でシードに当たると、より難しい戦いになります。その時は自分の調子も上がっているはずなので、真っ向勝負で、やるべきことをやり切るだけという状況になります。

 グランドスラムはテニス選手にとって憧れの場所ですが、出場することがゴールではないでしょう。どうすれば勝てるかを考えるべきです。グランドスラムは大きなチャンスです。そのチャンスをどうつかみ取るのか。自分のベストパフォーマンスを出せる状態にして臨みましょう。

文●伊達公子
撮影協力/株式会社SIXINCH.ジャパン

【PHOTO】全仏オープン2024で奮闘する女子選手たちをピックアップ

【PHOTO】全仏オープン2024で奮闘する男子選手たちをピックアップ

【PHOTO】世界4位にまで上り詰めた伊達公子のキャリアを写真で振り返り!
 

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号