現地6月30日に開幕したテニス四大大会「ウインブルドン」の男子シングルスで、過去2度にわたり四大大会準優勝を経験している元世界ランキング3位のステファノス・チチパス(ギリシャ/現26位)が1回戦を途中棄権し、初戦で姿を消した。リタイアの理由は「背中の負傷」とされている。
今大会に第24シードで出場した26歳のチチパスは、1回戦で予選勝者のバランタン・ロワイエ(フランス/同113位)と対戦。試合中に度々苦悶の表情を浮かべ、満足に動けないまま第1セットを3-6で落とすと、第2セット途中には背中の痛みを訴えてメディカルタイムアウトを申請した。
応急処置を受けてプレーを再開したチチパスだったが、その後も動きのキレは戻らず、このセットも2-6でダウン。そして第3セット開始前に棄権を申請し、1時間14分で無念の初戦敗退となった。
これまでにツアー12勝を挙げ、2019年には年間成績で上位8名だけが出場できるシーズン最終戦「ATPファイナルズ」を制すなど若くから活躍してきたチチパスだが、ここ最近は低空飛行が続いている。今季も2月の「ドバイ選手権」(ハード)でATP500初優勝を飾って以降はどこか振るわず、直近5大会ではいずれも3回戦を突破できていない。世界ランキングも約6年10カ月ぶりにトップ20から陥落した。
チチパスの苦戦が続いている理由の一つが、23年の「ATPファイナルズ」を背中のケガで棄権して以来、「身体が壊れやすくなってしまった」ことだ。非常に残念な形で聖地を去ることとなった26歳は試合後の記者会見で長らく抱えている苦悩をこう告白した。
「今の状況を言葉にするのは難しい。実は最近、(フィジカル面で)いくつもの戦いを抱えているんだ。こういう状況にいるのが本当につらい。僕が絶対にしたくないことの一つが、試合を棄権することなのに、ATPファイナルズを棄権して以来、何度もこういう場面を経験するなんて予想していなかった」
「健康でいることと、極限まで自分を追い込める感覚との戦いが続いている。本当に難しい状況だ。フィットネスも、理学療法もやれることは全てやってきた。でも今は答えが見つからないし、本当にどうしたらいいかわからない」
背中の状態も「これまでで一番厳しい状況」と言い、現役引退という最悪のシナリオも頭をよぎり始めているほどだと率直に明かす。
「背中のケガはずっと続いている問題で、なかなか改善しない。僕にも限界はある。この数カ月の間に何をすべきかを決断しなければならないけど、厳しい状況になっていくとは思う。もしこのまま悪い方向に進んでいくようなら、競技を続ける意味はない。これまで何度も言ってきたように、健康が保てなければテニス人生そのものが苦痛になってしまうからね」
言葉の端々からは、チチパスの焦りや迷い、そして葛藤が滲む。それでも、もし身体の不安が取り除かれれば、彼の本来の強さが再び顔を出すのではないだろうか。とにかく今は1日も早いチチパスの回復を願うほかない。
文●中村光佑
【画像】チチパスはじめ、2025ウインブルドンを戦う男子トップ選手たちの厳選フォト
【関連記事】新コーチのイバニセビッチがチチパスに期待!ポテンシャルを称賛し「今は“切れ味”を取り戻す段階にいる」と明かす<SMASH>
【関連記事】不振のチチパスが名将イバニセビッチをチームに招聘!「彼との旅が楽しみ」と再浮上を期す<SMASH>
今大会に第24シードで出場した26歳のチチパスは、1回戦で予選勝者のバランタン・ロワイエ(フランス/同113位)と対戦。試合中に度々苦悶の表情を浮かべ、満足に動けないまま第1セットを3-6で落とすと、第2セット途中には背中の痛みを訴えてメディカルタイムアウトを申請した。
応急処置を受けてプレーを再開したチチパスだったが、その後も動きのキレは戻らず、このセットも2-6でダウン。そして第3セット開始前に棄権を申請し、1時間14分で無念の初戦敗退となった。
これまでにツアー12勝を挙げ、2019年には年間成績で上位8名だけが出場できるシーズン最終戦「ATPファイナルズ」を制すなど若くから活躍してきたチチパスだが、ここ最近は低空飛行が続いている。今季も2月の「ドバイ選手権」(ハード)でATP500初優勝を飾って以降はどこか振るわず、直近5大会ではいずれも3回戦を突破できていない。世界ランキングも約6年10カ月ぶりにトップ20から陥落した。
チチパスの苦戦が続いている理由の一つが、23年の「ATPファイナルズ」を背中のケガで棄権して以来、「身体が壊れやすくなってしまった」ことだ。非常に残念な形で聖地を去ることとなった26歳は試合後の記者会見で長らく抱えている苦悩をこう告白した。
「今の状況を言葉にするのは難しい。実は最近、(フィジカル面で)いくつもの戦いを抱えているんだ。こういう状況にいるのが本当につらい。僕が絶対にしたくないことの一つが、試合を棄権することなのに、ATPファイナルズを棄権して以来、何度もこういう場面を経験するなんて予想していなかった」
「健康でいることと、極限まで自分を追い込める感覚との戦いが続いている。本当に難しい状況だ。フィットネスも、理学療法もやれることは全てやってきた。でも今は答えが見つからないし、本当にどうしたらいいかわからない」
背中の状態も「これまでで一番厳しい状況」と言い、現役引退という最悪のシナリオも頭をよぎり始めているほどだと率直に明かす。
「背中のケガはずっと続いている問題で、なかなか改善しない。僕にも限界はある。この数カ月の間に何をすべきかを決断しなければならないけど、厳しい状況になっていくとは思う。もしこのまま悪い方向に進んでいくようなら、競技を続ける意味はない。これまで何度も言ってきたように、健康が保てなければテニス人生そのものが苦痛になってしまうからね」
言葉の端々からは、チチパスの焦りや迷い、そして葛藤が滲む。それでも、もし身体の不安が取り除かれれば、彼の本来の強さが再び顔を出すのではないだろうか。とにかく今は1日も早いチチパスの回復を願うほかない。
文●中村光佑
【画像】チチパスはじめ、2025ウインブルドンを戦う男子トップ選手たちの厳選フォト
【関連記事】新コーチのイバニセビッチがチチパスに期待!ポテンシャルを称賛し「今は“切れ味”を取り戻す段階にいる」と明かす<SMASH>
【関連記事】不振のチチパスが名将イバニセビッチをチームに招聘!「彼との旅が楽しみ」と再浮上を期す<SMASH>