バレーボール男子日本代表の主将・石川祐希が所属するイタリアリーグのシル セーフティ スカイ・ペルージャが、サポーターへの感謝を込めて型破りな企画を決行した。現地取材した、驚きの内容とは？

　欧州覇者のペルージャが、「チームと一緒に旅をしよう」と銘打ったのは、今季出場する国外開催の２大会にサポーターがチームと同行できるという企画だ。現地９月30日までの年間シート購入者の中から20名（各大会10名ずつ）を招待する。

　対象となる大会の１つは、ペルージャ移籍から間もない石川がいきなりMVPに輝く活躍で2024-25シーズン１冠目をクラブにもたらし、大いに存在感をアピールしたスーペルコッパだ。前シーズンの成績上位４チームが集うこの大会は11月７、８日にサウジアラビアで開催される。レギュラーシーズン首位として出場するペルージャは、準決勝でリーグ優勝を飾ったトレンティーノと対戦。決勝へ進んだ場合、コッパイタリアのファイナリスト対決となるチヴィタノーヴァ対ヴェローナの勝者と今季初冠を争う。

　もうひとつは、12月16～21日にブラジルで２年連続開催されるクラブ世界選手権。ペルージャが2023-24シーズンに達成した４冠の１つだが、昨季は出場していないため、大阪ブルテオンも参戦する今季は、タイトル奪還を目指す。
  　チーム同行だけでもファンにとってはたまらないはずだが、ジーノ・シルチ会長が考案したサプライズは型破りだ。渡航費、宿泊費と観戦チケット代はすべてクラブが負担。なんとも太っ腹な完全無料での招待は、会長の鶴の一声で決定したそうだ。

　イタリア時間９月30日に本拠地パラバルトンで行なわれた抽選会は、YouTubeのクラブ公式アカウントで生配信された。代表シーズンを終えてチームに合流したばかりの石川とアルゼンチン代表の主将アグスティン・ロセルも参加して、選手たちが大きなガラス容器から購入者の名前が書かれたカードをチョイス。次々と当選者が決定していった。

　期待に胸を膨らませ来場した多数の地元サポーターたちの中から２名が当選すると、拍手喝采が沸き起こり大盛り上がりをみせた。当選者のひとりは驚きを隠せない様子で、「感激で言葉が出てきません。サポーター歴は数年前からだけど、地元のチームを応援したくて今年は初めて年間シートにしたんです。当選するなんて思ってもいなくて…本当に光栄です」と喜びいっぱいに心境を語った。

　ほかのスポーツ界でもなかなか耳にすることのない粋な企画について石川は、次のようにコメントした。

「こういったことができるクラブは、バレーボール界でも稀じゃないかなと思います。ペルージャは会長を始め、本当にサポーターのことをとても大切にしているクラブ。そう強く感じています」