挑戦者の自己評価は驚くほど高い。

　プロボクシングの世界スーパーバンタム級４団体統一王者の井上尚弥（大橋）が現地12月27日、サウジアラビア・リヤドでWBC同級２位アラン・ピカソ（メキシコ）との防衛戦に３-０で大差の判定勝ち。世界戦の連勝記録を歴代単独トップとなる「27」に伸ばし、６度目の王座防衛に成功した。これでプロ戦績は32戦全勝（27KO）とした。
  　しかし、25歳のメキシカンは晴れやかな表情を見せている。試合後、米老舗誌『Ring Magazine』のインタビュー映像が公式YouTubeに掲載され、その中で、「人生で最も過酷な試合だったが、敗北感はない」と言及。「満足しているし、幸せな気分。タフな戦いなのはわかっていた」などと続け、充実感を滲ませている。

　さらに、「相手が俊敏で強く、爆発力を持つのは周知の事実だ」と井上を称えたピカソ。「ただ、良い感触で一歩も引かずに戦い、自分の方が強いと思える場面もあった」「リズムに乗るのは簡単ではなかったが、一度乗ってからは、彼より良い動きができていたと感じている」と手応えも口にし、次のように続けた。

「正直、もっとパワーや強さを予想していたし、厳しい展開になると思っていた。敗れはしたが、勝者のように感じている。素晴らしい役割を果たし、観客もそれを見てくれたと思う。ここでキャリアは終わらないし、これからも戦い続ける。家族やチーム、そしてメキシコという国全体を誇りに思う。世界王者の夢は諦めない」

　世界初挑戦を終え、さらなる進化を誓ったピカソ。世界屈指のPFPファイターとの戦いで、完敗という結果以上のものを掴み取ったようだ。

構成●THE DIGEST編集部

【画像】「モンスターは止められない」井上尚弥が圧倒したピカソ戦ハイライト