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「逆転率は7%!」「印象がどんどん劣悪に…」中国メディアからも“英雄”孫楊に悲観的見解が

THE DIGEST編集部

2020.03.02

はたして孫楊を巡る騒動はいかなる結末を迎えるのか。(C)Getty Images

 さすがに中国国内においても、悲観的な論調が目出ちはじめている。

 現地2月28日、スポーツ仲裁裁判所(CAS)は競泳男子の孫楊(中国)に対して8年間の競技資格停止処分を言い渡した。世界アンチ・ドーピング機関(WADA)からの告発を受けたもので、2018年9月のドーピング抜き打ち検査の際に、孫楊側が採取した検体の容器をハンマーで破壊するなど検査を拒否したことが、「規則違反」と認定されたのだ。

 この裁定に孫楊は激怒。「私は無実だ! 真実はきっと嘘を暴くはずだ!」と突っぱね、30日以内にスイス連邦最高裁判所に提訴すると明言。さらに孫楊の弁護団でリーダーを務める張起淮氏も「2020年2月28日は暗黒の一日となった」と発し、「邪悪が正義に打ち勝ってしまった。CASは検査官が提出した嘘まみれの証拠を真実だと認めたのだ」と手厳しく糾弾した。あくまで徹底抗戦の構えだ。

 とはいえ、旗色は明らかに悪い。全国スポーツ紙『新浪体育』は「人びとが孫楊の引退を心配しはじめている」と切り出し、次のように論じている。

「彼ら(孫楊側)にとって唯一の望みは、スイス連邦最高裁判所での再審理だ。しかし過去の事例を集計すると、CASからスイス最高裁に舞台を移して逆転したケースは全体のわずか7%でしかない。しかももしそこで裁定が覆ったとしても、CASに対して強制力を持つものではない。引退という結末が現実味を帯びてきているのだ」
 さらに全国紙『新京報』は、世界的なバッシングの流れを指摘。検体を壊したと告発されて以降、孫楊のライバルたちが彼と同じ表彰台に上ることを拒否したり、それに対して孫楊が尊大な態度を取るなどして、欧米メディアの反感を買ってきた。そして今回の裁定後は、強硬な物言いで猛反論を繰り広げている。同紙は「世界規模で彼へのイメージがどんどん劣悪になっている。スポンサーへの心証も悪く、たとえ8年後に競技復帰してもサポートが続いているかは疑わしい」と評している。

 中国版ツイッター「ウェイボー」を中心に、依然として孫楊を支持するファンの声は多い。それでも世界の冷ややかな論調は、徐々に中国国内のムードも鎮めはじめているようだ。

構成●THE DIGEST編集部

【画像】世界選手権優勝の孫楊が記念撮影を拒否した選手を恫喝! その決定的写真はこちら!
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