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国際水泳連盟の副会長が重大発言! 8年間の資格停止となった孫楊の金メダルを剥奪か

THE DIGEST編集部

2020.03.05

厳罰を下された孫楊。それでもCASは「メダル剥奪なし」と発表していたが……。(C)Getty Images

厳罰を下された孫楊。それでもCASは「メダル剥奪なし」と発表していたが……。(C)Getty Images

 水泳界の要人が、8年間の資格停止処分を受けた孫楊(中国)に関して注目発言だ。

 オーストラリアの全国紙『The Sydney Morning Post』が直撃取材した相手は、同国出身のFINA(国際水泳連盟)副会長、マット・ダン氏。ドーピング検査に絡んだ一連のドタバタを受けて、「孫楊の金メダルを剥奪する可能がある」と発言したのである。

 現地2月28日、スポーツ仲裁裁判所(CAS)は世界アンチ・ドーピング機関(WADA)の告発に対する裁定を下した。2018年9月、孫楊の自宅で行なわれた抜き打ちのドーピング検査において、採取した血液検体の入った容器を選手側がハンマーで破壊した、とされる嫌疑。最終的にCASはこれを検査の妨害および拒否と認定し、孫楊に事実上の引退勧告とも言える厳しい処罰を与えたのだ。

 選手側は当然、猛反発。弁明のラストチャンスと位置づけ、30日以内にスイス連邦最高裁判所に提訴する旨を明かしている。

 CASは過去の競技結果に関してはいっさい変更なしとの見解を示したが、これには孫楊のライバル選手たちや欧米メディアから否定的な意見が相次いだ。そこで『The Sydney Morning Post』紙がダン副会長に質問を投げたところ、「CASの(メダルを剥奪しないという)判断はCASのものであって、FINAは独自の話し合いをする必要がある」と語り、次のように続けた。

「FINAの理事会で議論すべき事案だろう。CASとWADAの裁定そのものは最大限、尊重すべきだ。我々は薬物に対してクリーンな環境を推進する義務があり、なにより、競技者たちを守らなければならない。個人的な見解としては、スイス最高裁での審理が終わってからが妥当なタイミングだと考えている。対象となるのは韓国での(2019年の)世界選手権だ」

 昨年7月、韓国・光州で開催された世界選手権で、孫楊は200メートル自由形と400メートル自由形でともに金メダルを獲得した。もし剥奪となれば、400メートルは孫楊への抗議を込めて表彰台登壇を拒んだマック・ホートン(オーストラリア)が繰り上がり、200メートルは日本の松元克央が“金”となる。日本水泳連盟の規定では世界選手権の金メダリストに東京五輪代表内定が与えられるが、はたして松元の元に吉報は届くのか。
 ただ、中国メディアからはFINA副会長の安易なコメントに反発の声も上がっている。WADAがCASに告発したのは、そもそもFINAが孫楊に対して「口頭での注意」という甘い処罰を下したからで、世界選手権出場にゴーサインを出したのもFINAだったからだ。

 いずれにせよ、CASの裁定が覆る可能性はほぼない。そんななか、孫楊側はスイス最高裁でどんな主張を展開するのか。最終決着を見るのはそのあとになりそうだ。

構成●THE DIGEST編集部


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