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新たな事実も発覚! 孫楊が暴挙に出た“ドーピング抜き打ち検査”の全容が明らかに!

THE DIGEST編集部

2020.03.06

28歳の円熟期で、事実上の引退勧告を言い渡された孫楊。逆転勝訴の秘策はあるのか。(C)Getty Images

28歳の円熟期で、事実上の引退勧告を言い渡された孫楊。逆転勝訴の秘策はあるのか。(C)Getty Images

 スポーツ仲裁裁判所(CAS)は3月5日、公式サイト上にひとつの詳細なレポートを掲載した。

 競泳界のスーパースター、孫楊(中国)に対する世界アンチ・ドーピング機関(WADA)の告発を受け、CASは2月28日に裁定を公表。2018年9月に実施されたドーピングの抜き打ち検査の際、選手側が血液を採取した容器をハンマーで破壊するなど妨害行為に及んだ容疑を「有罪」と認定し、8年間の資格停止処分を言い渡した。

 これを不服とした孫楊と彼の弁護団は、すぐさまスイス連邦最高裁判所への提訴を宣言。最終決着はファイナルラウンドに持ち越される。

 そんななか、CASがあらためて事件の一部始終をレポートにまとめて公開したのだ。抜き打ち検査の生々しいやり取りが事細かに記され、新事実も発覚している。

 検査が行なわれたのは、2018年9月4日の夜。中国の杭州市にある孫楊の別荘だった。派遣されたのはドーピングコントロール検査官(女性)、尿採取の担当者(男性)、血液採取の担当者(女性)の3人。それぞれが正式な資格を持つ者であることを証明するIDまたはライセンスを選手側に提示した。孫楊のほか、彼の母である楊明さんも立ち会ったという。

 3人の身元を確認した孫楊は承諾書にサインをし、まずはふたつの血液検体採取に応じた。孫楊側はのちに初期段階で身分証明書を提示されなかった、そこに不備があったと強く主張したが、この点において明らかな相違がある。彼は検査官たちをしっかり認知し、最初から受け入れていたということだ。
 検査官が厳重な鍵のかかったボックスに容器を収めた直後、問題が起こった。

 尿検査の担当者が、孫楊の写真を数枚撮影。この行為に違和感を覚えた孫楊が「プロフェッショナルじゃない!」と騒ぎ立て、もう一度、その身分証明書を見せるように詰め寄った。「これは居住者IDでしかない」と断じて、彼が担当するはずだった尿の採取を拒否したのである。

 孫楊と母親は即座に、電話でスタッフに招集をかけた。まもなくして駆け込んできたのが専属ドクターで、彼は中国代表チームドクターや国内ドーピング機関の専門家などに次々と電話で相談。最終的に医師団は孫楊に対して、「検査チームすべての身分証明書に不備があり、基準を満たしていない」と疑いをかけ、血液サンプルの持ち出しを断固拒否するよう進言した。
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