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新たな事実も発覚! 孫楊が暴挙に出た“ドーピング抜き打ち検査”の全容が明らかに!

THE DIGEST編集部

2020.03.06

 リーダーである検査官は、抵抗する。「サンプルを取り上げることは正規の検査で違反を犯すよりも、重大な過失につながる。考え直したほうがいい」と警告もした。だが孫楊は強硬な姿勢で容器を寄越すように迫り、検査官はボックスから取り出して彼に手渡した。WADAが「脅迫的な言動」と表現したのは、まさにここでのやり取りだ。

 やがて孫楊はボディーガードに検体の入った容器をハンマーで壊すように指示。その際にも検査官との間で押し問答があったが、結果的に容器は壊され、孫楊はボディーガードが正確な作業ができるように、スマホのスポットライトを光らせて手助けまでした。彼らは中に収められていた血液サンプルの奪取に成功したのだ。

 そして孫楊は驚きの暴挙に出る。サイン済みの同意書も検査官から取り上げ、ビリビリに破り捨てたという。レポートの中でCASは「驚くべきことに(CASでの)審理の間、選手(孫楊)は自身の行動に対していっさい反省の弁を述べなかった。強情な態度で、他社の過失をひたすら攻撃し続けたのだ」と評している。
 国際水泳連盟(FINA)は年が明けて2019年1月、ハンマーでの破壊行為を認めつつも、孫楊側の主張をおおむね受け入れて、口頭での注意にとどめる意外な裁定を下す。孫楊はお咎めなしで同年7月の世界選手権に出場し、自由形でふたつの金メダルを獲得した。WADAはFINAの甘すぎる対応に遺憾の意を示して、CASへの提訴に踏み切ったという流れだ。

 長きに渡る審理を経て、明らかとなった「抜き打ち検査」の全容。はたして孫楊は、スイス最高裁で「事実上の引退勧告」を覆すだけの主張を展開できるのか。明らかに旗色は悪く、窮地を抜け出すのは困難と見るのが妥当だろう。

構成●THE DIGEST編集部

【画像】世界選手権優勝の孫楊が記念撮影を拒否した選手を恫喝! その決定的写真はこちら!
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