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新型コロナウイルスによる経済的損失にスポーツ界は耐えられるのか?今後の見通しは?

石田英恒

2020.03.12

新型コロナウイルス感染拡大を受け、プロ野球のオープン戦は無観客で行なわれた。写真:朝日新聞社

 新型コロナウイルスの感染拡大が、日本のスポーツ界に大きな損失を与えている。日本のスポーツ界はこの損失に耐えられるのか? 現状と今後の見通しについて取材した。

 今回の新型コロナウイルスの世界的流行が、国内外のスポーツ界にさまざまな影響を及ぼしている。当然のことながら、スポーツ界が被る損失は、プロ、アマを問わずさまざまなところに出ている。象徴的なのが、国民的なスポーツであり興行でもある大相撲が、3月8日からの三月場所(春場所=大阪場所)で史上初の無観客試合としてスタートしたことだ。

 無観客試合となると、チケット収入がなくなる。春場所では、すでにチケットは販売され、ほぼ完売状態で、弁当なども予約済みだったため、多額の損失が発生する事態となった。

 チケット販売が割り当てられ、飲食やサービスを提供する、大阪の相撲案内所(相撲茶屋)は、三月場所(大阪場所)だけで生計を立てる相撲案内所が多く、「今回の事態は今までにない想定外の状況であり、廃業の危機にさらされている相撲案内所もあるようだ」と、相撲関係者は語る。

 無観客試合の場合、主催者はチケット収入がなくなるので大変だが、競技場内で食事、軽食を提供する業者は無収入になるので、生活ができない事態に陥ってしまう。
 
 春の選抜高校野球大会は、無観客で開催する予定だったが、選手、関係者の健康が守れないということから中止と決まった。プロ野球はオープン戦を無観客試合で行ない、現状で、リーグ戦の開幕は延期を決めた。Jリーグも再延期して4月中の開幕を目指す方針だ。しかし、コロナウイルスの流行が長引けばプロ野球、Jリーグでも無観客試合、中止の選択肢が現実的になってくるだろう。

 イタリアのセリエAは開催中止(4月3日まで)となり、米国のNBAも現在、延期か無観客試合か中止かを検討するなど、世界的に開催中止、無観客試合での開催の動きが広がっている。

 経済的には、スポンサーとして体力のある大企業をバックに持つチームはまだいいが、大きな親会社がなくスポンサーが不特定多数のチーム、中小企業がスポンサーになっているチームは本当に苦しくなる。

 地元の中小企業からスポンサー料を集めるチームが多いサッカーのJ3、野球の独立リーグなどは、この状況が続けば、今後はチームの存続に関わる事態になり得る。