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競馬

名牝ウオッカを輩出したタニノギムレット ダービーを駆け抜けカントリー牧場の“血”をつないだ傑馬の軌跡【名馬列伝】

THE DIGEST編集部

2026.08.08

02年の日本ダービー。タニノギムレット騎乗の武豊騎手はスタンドに向かって体全体で歓喜のVポーズをした。写真:産経新聞社

02年の日本ダービー。タニノギムレット騎乗の武豊騎手はスタンドに向かって体全体で歓喜のVポーズをした。写真:産経新聞社

 2000年代の前半から中盤、相次いで3歳の強豪を送り込んで競馬シーンを引っ張っていたのは、競馬新聞のトラックマン出身という非常に珍しい経歴を持つ名トレーナー、松田国英だった。

 松田は牡馬に対してユニークな考えを持ち、競走成績はもちろんだが現役時代、いかに種牡馬価値を上げられるかを重要視した。そのためにNHKマイルカップ(GⅠ)と日本ダービー(GⅠ)の制覇を狙う、俗に言う「変則二冠」を目指すというローテーションを先導する役目を担った。

 この試みに関して取材した際、松田は次のように語った。実に説得力に満ちた主張だった。

「みなさんは変わったことだと言いますが、英国を見てください。一冠目の2000ギニーは1600、続くダービーは2400m。何も変わったことではないんですね。それに、マイルと2400のGⅠを勝つことによって、スピードとスタミナを併せ持った馬ということで、種牡馬入りする際の価値がとても高くなる。私はそこに重きを置いて考えているんです」
 
 2000年に松田のもとに芦毛の牡馬が入厩した。外国産馬に「クロフネ」と名付けるという、ウイットに富むネーミングが印象的な優駿だった。2歳時に2勝を挙げたクロフネは、3歳になった2001年、毎日杯を制すると皐月賞には見向きもせず、敢然と変則二冠制覇にチャレンジする。“一冠目”のNHKマイルカップは1番人気に応えて難なく快勝。しかし続く日本ダービーでは直線で伸びを欠き、ジャングルポケットの5着に敗れた。二冠制覇という松田の野望は潰えた。

 だがその後、ジャパンカップダートなどで破格の強さを見せたクロフネは種牡馬として、GⅠレース2勝のカレンチャンを出すなどの成功を収めた。

 クロフネの日本ダービーから約2か月後、松田国英厩舎の期待馬が札幌でデビューする。父ブライアンズタイム、母タニノクリスタル(父クリスタルパレス)という血統で、北海道・静内町のカントリー牧場にて生まれた牡馬、タニノギムレットである。
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