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競馬

【名馬列伝】ダービー制覇をフロック視されたサニーブライアン 並大抵ではない逃げ切り二冠の芸当は驚異的な“成長力”

三好達彦

2026.06.23

日本ダービーを制し、皐月賞との二冠を達成したサニーブライアン。鞍上は大西直宏。写真:産経新聞社

日本ダービーを制し、皐月賞との二冠を達成したサニーブライアン。鞍上は大西直宏。写真:産経新聞社

 クラシックホースでありながら、信じ難いほどに評価が低い馬がいる。その代表格が1997年の皐月賞(GⅠ)、日本ダービー(GⅠ)の二冠を逃げ切りで制したサニーブライアンである。

 皐月賞を逃げ切ったときには「展開に恵まれた」と、その勝利をフロック視され、日本ダービーを制した際にさえ「6番人気の伏兵」扱いだったサニーブライアン。当時の筆者もそれに近い見方をしていたひとりだったが、今となってはその浅薄な捉え方を恥じ入りたい気持ちに変わっている。二冠を続けて逃げ切るという芸当は、ポテンシャルの高さ失くしてはできないことだというのが身に沁みて分かってきたからだ。

 その考えを変えるきっかけを与えてくれたのは、日本ダービーをマカヒキ(2016年)、ワグネリアン(2018年)、ドウデュース(2022年)で三度も日本ダービーを勝ち、尾形藤吉に次ぐ勝利数でJRA歴代2位に上がっているクラシックマスター、友道康夫調教師の言葉だった。

「ダービーを勝つ馬の成長力は凄いんですよ。特に皐月賞を勝ったあとのワグネリアンの充実ぶりは凄まじくて、そばで見ていると日に日に馬が良くなって、本格化していくのが手に取るように分かった。あぁ、ダービーを勝つ馬というのは、こんなに凄い成長をするものなんだなぁ、と。それ以降、管理馬をダービーに出す際には、そのときのワグネリアンの急激な成長がひとつの物差しになっています」

 これはあくまで筆者の見方だが、サニーブライアンは皐月賞の前に激しく成長し、日本ダービーの前にもう一段上のフェイズへと駆け上がるような成長を示したのではないか、と。でなければ、皐月賞の一回だけならまだしも、続く日本ダービーでも決してラクとは言えず、誤魔化しの利かない東京の2400mを逃げ切ることなど並の馬にできるはずがないからだ。

 今回は、いまだに悲運の二冠馬サニーブライアンの復権を勧めることを念じながら、彼の蹄跡を追ってみたい。
 
 騎手の大西直宏は1980年、美浦トレーニング・センターの中尾銑治厩舎の所属騎手としてデビュー。初年度に9勝を挙げて民放競馬記者クラブ賞(関東新人騎手賞)を受賞。順調なスタートを切った。その後も毎年二桁勝利を挙げ続け、1981年には南関東から鳴り物入りで中尾銑治厩舎に転厩してきたゴールドスペンサーに騎乗。天皇賞(秋)で3着、ジャパンカップで日本馬最先着の5着、有馬記念も5着と健闘し、大西の名前は全国区のそれへと広がっていった。

 大西が日本ダービーに初騎乗を果たしたのは1987年のこと。自厩舎のサニースワローがフルゲート24頭の枠に滑り込み、単勝22番人気(オッズ225.4倍)という超低評価のもとで出走した。レースは根本康弘が騎乗するメリーナイスが独走状態で圧勝するのだが、その6馬身後方で2着に入ったのは何とサニースワローだった。第3コーナーの手前から進出を開始すると4角先頭で直線へと向き、メリーナイスには差されたものの、2番手をキープして粘り込んでしまったのだ。このときの複勝は4680円というダービーレコードを記録している。このあとサニースワローは引退まで勝ち星を挙げることができず、日本ダービー2着はまさに乾坤一擲の大駆けということになった。
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