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陸上

銀メダリスト田中希実が長距離大国ケニア出身の強者との“勝負”で恐れていたファンからの視線【陸上女子10000m/アジア大会】

野口一郎(THE DIGEST編集部)

2026.09.25

女子10000mで表彰台を射止めた(左から)田中、ヤビ、シーマ(インド、32分50秒05で3位)。(C)Getty Images

女子10000mで表彰台を射止めた(左から)田中、ヤビ、シーマ(インド、32分50秒05で3位)。(C)Getty Images

 9月24日、名古屋市瑞穂公園陸上競技場で「第20回アジア競技大会(2026/愛知・名古屋)」の陸上競技・女子10000メートル決勝が行なわれ、日本の田中希実が32分41秒54で銀メダルを獲得。スローペースで勝負に徹してきた強豪を相手に堂々としたレース運びは称賛に値するパフォーマンスに見えたが、本人は試合後にファンからの“見られ方”を心配した。

 2024年パリ五輪の女子3000メートル障害で金メダルに輝いたウィンフレッド・ヤビ(バーレーン、32分39秒18)にこそラスト勝負で敗れたものの、16年リオ五輪同種目王者のルース・ジェベト(バーレーン、33分22秒21で5位)や、ダイジー・ジェプケメイ(カザフスタン、33分03秒21で4位)といったケニア出身者を制した(※ヤビも同国出身)。

 それでも田中は「私は国際レースをたくさん見ているので、こういう(極端にスローな)レースがあることは知っていても、観客の方には少し難しい、どう応援していいのか分からないレースになってしまったことは申し訳ない気持ちはありました。場内にいる方はともかく、テレビで観戦している方から『何だよ』と声が聞こえてくるような気持ちで走っていて、少し怖かったです」と、心情を明かした。
 
 ただ、冷静な走りは崩さなかった。「ここで負けたら、自分でも『何だよ』と腹が立つので。メダルの確保はできました。ただヤビ選手の世界のラストスパートに歯が立たなかったところが一番悔しいレースでした」と、手応えと悔しさを口にした。

 たしかに、ジョギングかと目を疑うような遅い速度になったシーンもあった。しかし、それもメダルや国内王者がかかったレースではよくある。途中経過や最終的なタイム以上に、ラスト1000メートルを2分40秒台で走破し、長距離大国出身の強者を相手に走り抜いた田中は、やはり称えられるべきだと感じた。

取材・文●野口一郎(THE DIGEST編集部)

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