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東京五輪へハード面の準備は順調も「放送計画」の作成がピンチに…テレビ関係者が危機感を募らせる理由とは?

石田英恒

2019.09.13

東京五輪のメインスタジアムとなる新国立競技場は9割方完成しており、他の施設面も順調に建設が進む。一方で放送計画は思わぬピンチに……。(C) Getty Images

 東京オリンピックで、NHKと民放5局による放送計画の作成がピンチを迎えている。話し合いが暗礁に乗り上げる可能性も十分にあるという。なぜか? その理由を追った。

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 2020年東京オリンピックで、サッカーの決勝、陸上競技などが開催される国立競技場が、大会1年前の段階で9割方が完成し、その他の施設も順調に建設が進んでいる。7月に東京を訪れたIOCバッハ会長も「1年前の段階でこれほど準備ができている都市は見たことがない」語るなど、ハード面の準備は極めて順調なようだ。しかし、「大変なことがある。これから始まる放送計画の作成だ」とJOC関係者はいう。

 放送計画に関しては、遅くとも年内、できるだけ早い時期に作成の具体的な詰めを行なわなければならない。オリンピックはNHKと民放連で構成するJC(ジャパンコンソーシアム)で放送権を購入しているため、どの局がどの競技をどの日程で放送するかをNHKと民放5局で決めなければならないのだ。

 だが、現在、放送計画を進める話し合いを進めることが難しい状況になっている。2020年東京オリンピックでは、開催国枠などで基本的に全ての競技に日本選手が出場する。日本の有力競技の試合はすべて中継しなければならないため、サッカー、野球、バスケットボール、バレーボール、卓球、バドミントン、テニスなど人気競技の日本戦をどの局で中継するか、NHKと民放各局間の調整を付けるのが困難になっている。「前回までのオリンピックと違い、ほぼすべての競技に日本選手が出場し、しかも有力選手が多いこともあり、現状で話し合いを進めて『この日は、どの局がどの競技』と区切りを付けるのは簡単なことではない」と放送関係者は語る。
 チームスポーツのボールゲームは、人気のサッカー、野球、バスケットボールをはじめ、試合の日程、開始時間は決まっているが、出場国、対戦カード、日本チームの出場日時が未定だ。最終的に決まるのは、サッカーは来年の春までに(男子はU-23アジア選手権=2020年1月、南米予選=2020年1~2月など、女子はアジア最終予選=2020年2~3月、北中米カリブ海予選=2020年2月など)、野球は2020年4~5月(最終予選)、バスケットボールは2020年開催の世界最終予選で決定する。

 結局、バレーボール、ビーチバレー、7人制ラグビー、ハンドボール、水球なども含めて対戦カードが最終的に決まるのは来年の春以降となる。複数のボールゲームの日本戦が、同じ日程になる可能性もあり、テレビ各局がどの競技を放送するかを調整しなければならない。