ラグビー

ロシア戦のキーマンはトゥボウと堀江!ボールを散らす得意の攻撃に持ち込め!【大西将太郎のラグビーW杯展望】

大西将太郎

2019.09.20

ロシア戦は、トゥポウ(写真)をはじめ、松島、福岡あたりのキック処理が大事になってくるだろう。(C)Getty Images

 日本がプールAで対戦するロシア、アイルランド、サモア、スコットランドの4か国は、それぞれどんなラグビーの特徴があり、迎え撃つ日本はどのように戦うべきなのか。大西氏が攻略法を指南するとともに、各試合のキープレーヤーを挙げてくれた。

【第1戦 】vs ロシア 9月20日@東京スタジアム
KEY PLAYER
ウィリアム・トゥポウ(CTB/FB)
堀江翔太(HO)

 初戦ということで、まずはW杯特有の雰囲気に早く慣れることです。緊張感もプレッシャーも、テストマッチとは比べ物にならないですからね。

 もっとも、現在の日本代表には前回大会の経験者が多いですし、それほど心配は要らないでしょう。4年前、あれだけきつい練習をして臨んでも、結局ベスト8に入れなかった。だからリーチや田村といった15年大会を知る選手たちは、「あれ以上のことをやらなければダメだ」という気持ちを常に持ってグラウンドで戦っていますし、そうしたメンタリティーはチーム全体に浸透しています。油断などもちろんないはずで、多くのファンの応援もプレッシャーに感じるのではなく、きっと力に変えてくれるでしょう。
 ロシアはパスをつないでくるチームではありません。9番(SH)や10番(SO)からのキックが、おそらくは多くなる。だからこそ、本職はCTBながら最近はFBで使われることの多いトゥポウをはじめ、松島、福岡あたりのキック処理が大事になってくるでしょう。そこでしっかりとボールを確保できれば、パスを散らして相手を走らせ、疲弊させる、日本が得意とする攻撃の形に持ち込める。

 一方、昨年11月のテストマッチでは、雨中での試合ということもあって、相手のFWの重さに苦しんだ部分がありました(32-27で勝利)。そういった意味で、FWではフロントローの核となる堀江がキーマンになるでしょう。PRに怪我人が多いですが、真ん中の堀江は安定していますから、問題はないと思います。選手層もずいぶん厚くなりましたからね。

 あとは気持ちの勝負。前回大会の日本が南アフリカとの初戦にすべてを懸けたように、ロシアも先のことは考えず、ここに全精力をつぎ込んでくるはず。決して受けに回らないことが、勝利の絶対条件です。

解説●大西将太郎 取材・構成●吉田治良(スポーツライター)
※世界ランキングは2019年8月26日発表分

【解説者プロフィール】
大西将太郎/おおにし・しょうたろう 1978年11月18日生まれ。大阪府東大阪市出身。現役時代はCTBとSOをこなせる万能型のバックスで、キックの名手としても知られた。ジャパンラグビートップリーグ(リーグ戦)で通算143試合に出場。07-08年シーズンに「ベスト15」、「得点王」、「ベストキッカー賞」の三冠に輝いた。日本代表には同志社大4年時(00年)に初選出され、通算33キャップ・71得点。 16年の現役引退後は、同志社大や立命館大でバックスコーチを務める。現在は解説者として活躍している。

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