専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
ラグビー

【大西将太郎のラグビーW杯展望】優勝候補はNZ、南アフリカ、ウェールズ。「史上最強日本」の目標はベスト8の先だ

吉田治良

2019.09.18

ニュージーランドが優勝候補の一角であることは間違いないが……。写真:Getty Images

ニュージーランドが優勝候補の一角であることは間違いないが……。写真:Getty Images

 ヨーロッパや南半球のラグビー先進国以外で、初めて開催される今回のW杯。過去8大会にはなかった、新たなムーブメントやスタイルが生まれそうな予感も漂っている。自国開催で日本代表はどこまで勝ち上がれるのか、王者ニュージーランドの3連覇はあるのか――。07年のフランス大会に出場した元日本代表、大西将太郎氏に今大会を展望していただいた。

   ◆   ◆   ◆

 9月20日、いよいよラグビーワールドカップ(W杯)日本大会が開幕します。今回はアジアで初めての開催ということで、ヨーロッパや南半球のラグビーが盛んな国々で行なわれてきた過去8大会とは違った、〝新しいスタイル〞のW杯が見られるのではないかと期待しています。

 私は現役時代、2007年のフランス大会に出場しましたが、そこで感じたのは、W杯というのは単に4年に一度、ラグビーの世界チャンピオンを決める大会ではないということです。そこは文化と文化、人と人との交流の場でもあるんです。

 例えば、応援のスタイルひとつをとってもそう。きっと我々日本人は、ラグビー先進国からやってきたファンの人たちから、「ラグビーっていうのは、こうやって楽しむんだよ」ということを学べるでしょうし、一方で日本ならではの応援方法やラグビー観を海外の人たちに知ってもらえる良い機会にもなる。そうした交流を通じて、ラグビーの本当の面白さがひとりでも多くの人に伝わればいいなと思っています。

 フランス大会の時は、現地の空港に降りた瞬間から大歓迎ムードでした。選手もそうやって迎えられると、「国のために頑張らなくては」と気持ちを新たにするものです。この日本大会を素晴らしいワールドカップにするためにも、海外の人たちに最高のおもてなしを提供できたらいいですね。
 では、ピッチレベルに話を移しましょう。今大会も3連覇を目指す「オールブラックス」ことニュージーランド(NZ)が絶対的な本命と見られていましたが、開幕直前になって状況が少し変わってきましたね。

 南半球の強豪4か国で争われる「ザ・ラグビーチャンピオンシップ」(RC)でオーストラリアに敗れた(8月10日/26-47/オーストラリアとの定期戦「ブレディスローカップ」の第1戦も兼ねていた)ことで、09年11 月から約10年間、世界ランキングのトップに君臨し続けてきたNZが、ついにその座から転落してしまったんです(8月19日発表のランキング)。

 その翌週に36-0の快勝で宿敵にリベンジを果たし(ブレディスローカップ第2戦)、さすがに王国の意地は見せましたが、RCではアルゼンチンに辛勝(20-16)、南アフリカには引き分け(16-16)に持ち込まれるなど、ここ最近はかつてのような圧倒的な強さが感じられません。

 代わって史上初めてランキング1位となったのが、今年のシックスネーションズ・カップ(ヨーロッパ6か国対抗戦)で優勝したウェールズ。07年から指揮を執るウォーレン・ガレットHCの下、継続的に強化が進められてきたそのウェールズをはじめ、ティア1(編集部・注/ラグビーにおける最上位の階級を示し、NZなど10か国が含まれる)と呼ばれる強豪国、その中でも上位8か国くらいに関しては、どこが優勝してもおかしくない混沌とした状況と言えるでしょう。

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号