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藤井聡太棋聖が4連勝で王位奪取!羽生九段の記録を抜き、史上最年少で二冠&八段へ

THE DIGEST編集部

2020.08.20

藤井棋聖が王位に戴冠。数々の最年少記録を更新する歴史的な一日となった。写真:産経ビジュアル

藤井棋聖が王位に戴冠。数々の最年少記録を更新する歴史的な一日となった。写真:産経ビジュアル

「運命は勇者に微笑む」――タイトル獲得数歴代最多99期を誇る羽生善治九段の、座右の銘として知られる有名な一節がある。8月20日、将棋界に新しい“勇者”が誕生した。

 福岡県福岡市・大濠公園能楽堂において行われた『第61期王位戦七番勝負』第4局2日目、▲木村一基王位(47歳)-△藤井聡太棋聖(18歳)による対局は、挑戦者の藤井棋聖が80手で見事勝利。4連勝で木村王位を退け、郷田真隆四段(現九段)の21歳5ヵ月の王位獲得最年少記録を更新しただけでなく、羽生九段の二冠史上最年少記録(21歳11ヵ月)を大幅に塗り替えた。

 そして棋聖、王位の2つのタイトルを獲得したことで、藤井棋聖は七段から八段への昇段条件を満たし、加藤一二三九段の最年少八段記録(18歳3ヵ月)をも更新。常に『最年少記録』と隣り合わせで語られてきた藤井棋聖、いや藤井二冠に、新たな金字塔がいくつも加わった形となった。

  果たして、この歴史的な対局において、藤井二冠は“史上最高の棋士”、羽生九段を彷彿とさせるような差し回しを見せたのだ。

 本局は第2局と同じ相掛かりで進行。第2局といえば、木村王位が終始優勢で進めながら、藤井棋聖が驚異的な粘りで1分将棋に持ち込むと、木村王位の緩手から一気呵成に奇跡的な逆転勝利を収めた対局だった。

  普通の感覚であれば、敗北寸前まで追い込まれた相手の得意な土俵で戦う必要がないように思われる。しかし、稀代の天才棋士は違うのだ。
 
 冒頭で紹介した名言。これは羽生九段の“創作”だという。これまで幾多の死闘を戦ってきた羽生九段もまた、相手を畏れず、相手の得意な形に堂々と挑んできた。そして、危険と思われるような筋にも勇気を持って飛び込み、その先にある勝利をたぐり寄せ、将棋界に新しい光をもたらし続けてきた。

 本局は木村王位が序盤から工夫を凝らした指し回しに、藤井棋聖も負けじと応酬。初日から緊張感ある展開が続いた。18時、藤井棋聖の封じ手となったが、定刻を過ぎても長考。8六にいる飛車が8七の銀に狙われた局面、△2六飛と逃げる手を多くの棋士が勧めていた。

  しかし、「運命は勇者に微笑む」――藤井棋聖の封じ手は△同飛成。飛車を逃げるのではなく、銀との交換を決断。“勇気”を持って踏み込んだのだ。

 ここからの攻めは速かった。細いながらも大胆に手をつないでいく“藤井将棋”が木村玉を捉え、気付けば15時過ぎには勝勢に近い局面まで進んでいく。詰むや詰まざるやの展開は、藤井棋聖の最も得意な場面だ。将棋界最強の終盤力を遺憾なく発揮して、最後は圧勝。勇気ある一手が運命をたぐり寄せた。

  将棋界に、新しい勇者が誕生した瞬間だった。

構成●新井裕貴
 

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