専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
ゴルフ

記録ずくめの2連勝を飾った恐るべき19歳。笹生優花が“分水嶺の12番“で見せた世界で戦う武器

山西英希

2020.08.30

笹生は12番のアプローチについて、「普段はあまり転がしませんが、今週は使うかもしれないと思い、練習しておいてよかった」と振り返った。(C)Getty Images

笹生は12番のアプローチについて、「普段はあまり転がしませんが、今週は使うかもしれないと思い、練習しておいてよかった」と振り返った。(C)Getty Images

 史上初のセカンドカットが採用された国内女子ツアー第3戦「ニトリレディス」最終日、通算1アンダー以上をマークした34人よる戦いとなったが、最後に勝利の栄冠を手にしたのは19歳の笹生優花だった。

 笹生は前大会の「NEC軽井沢72ゴルフトーナメント」に続く2試合連続優勝を飾ったことになり、10代で達成したのは史上3人目、プロ初優勝からの2試合連続優勝も史上3人目の快挙だ。さらに、優勝賞金3600万円を上乗せしたことで、今季の獲得賞金は5904万円となり、一気に賞金ランキング1位に躍り出た。同時に3試合で生涯獲得賞金額が5000万円を超えたのも新記録である。

 そんな記録ずくめの優勝だったが、最終日は決して楽な戦いではなかった。降雨によるコースコンディション不良とその修復のためにスタート時間が2時間半遅れた。しかも、雨は一日中振り続け、肌寒さが選手を襲う。フィリピンで過ごした期間が長かった笹生にしてみれば、この寒さは難敵だったろう。前半、ティショットを右に曲げることが多かったが、寒さのために体が十分に回らなかったことも十分考えられる。

 しかし、それ以上に笹生を苦しめたのが、地元・北海道出身であり、大会主催者であるニトリの所属の小祝さくらだった。全英女子オープンをあきらめてまでこの大会に賭けた小祝には、勝ちたいという執念が漂っていた。
 
 その小祝に1打リードでスタートした笹生だが、2番パー4で今大会初のダブルボギーを叩き、首位の座を明け渡す。しかし、続く3番パー4で小祝がボギーを叩いたため、すぐに首位に並ぶ。4番からは笹生が4つ、小祝が3つのバーディを奪い、笹生が1打リードで前半をターン。互いに一歩も譲らない緊迫した試合展開だった。この時点で3位以下とはかなり差があり、試合は完全に2人のマッチプレーの様相となっていた。

 流れが変わったのは12番パー3だ。ともにグリーン手前のラフにティショットがつかまったが、先に打つ笹生はピンまでの19ヤードを転がして寄せることを選択。48度のウェッジで打ったボールはグリーンエッジを越えてすぐのところに落ちると、数回跳ねた後、ピンに向かって転がっていき、吸い込まれるようにカップへと沈んでいった。

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号