ゴルフ

渋野日向子が海外ツアー6試合から得たモノとは?“自信喪失と回復”を繰り返した2か月間を振り返る

山西英希

2020.10.15

海外での6試合を終え、30日からは国内ツアーに出場する予定の渋野。(C)Getty Images

 渋野日向子にとって2か月に渡る海外遠征が終了した。昨年優勝した『AIG全英女子オープン』以来の海外遠征だったが、渋野はこの6戦でどのようなことを感じ、何を手にしたのだろうか。

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「メンタル的にはイギリスが一番辛かったですね」と振り返るように、イギリスでの2試合はまさに苦痛以外の何物でもなかった。ただでさえショットの調子が悪いまま渡英したのに、初めてのリンクス挑戦はあまりにもハードルが高かった。『スコティッシュオープン』では2日間で奪ったバーディがわずかに1つ。海からの強風や硬いグリーン、ブッシュといった未経験の難敵が容赦なく渋野を襲い、ショットからパッティングまで思うようなゴルフをさせてもらえなかった。

 そのような状態で臨んだ『AIG女子オープン』だが、ある程度ティショットはフェアウェイをとらえるようになったものの、アイアンショットは相変わらず風に流され、思うようなところへボールを落とすことができない。練習してきた低い球もままならず、練習と本番とでは大きな隔たりがあることを思い知らされた2日間だった。ただ、予選落ちしたとはいえ、リンクスとはどのようなコースで、いかにショットやアプローチのバリエーションを増やす必要があるのか分かったことは収穫だった。
 
 自信を失ったイギリスでの2試合だったが、幸いだったのは、米国で2週間のオープンウイークがあったことだ。この期間にスイングを見直し、ショットの精度を取り戻すことに集中できた。パッティングでもクロスハンドグリップを試し、自らのクセを修正。距離感と方向性に可能性を見出した。

 ある程度自分のゴルフを取り戻して臨んだ『ANAインスピレーション』では、3週前の自信を失った渋野はいなかった。大きく体重移動していたスイングから体の軸を中心に回転するスイングへと変えたことで、ティショットだけでなくアイアンショットも安定。最終日こそ「78」と崩れて58位タイにまで落ちたが、通算2オーバーに留めたことは復活に向けての大きな第一歩となった。

 山火事による大気汚染の影響で急きょ3日間大会に短縮された『キャンピアポートランドクラシック』では、渋野のショットはさらに精度を高める。「チャー、シュー、メーン」のリズムに乗ってスイングしたことが要因だと語ったが、3日間で6アンダーをマーク24位タイに。まだ不安定さは残っているものの、ようやく渋野本来の攻めるゴルフができるようになってきた。自分が進んでいる道が間違っていないと確信することができた。