ゴルフ

「ピンをデッドに狙えない」悪天候で光った古江彩佳の集中力と技術。最終日の猛チャージに本人も手応え

THE DIGEST編集部

2020.10.18

ディフェンディングチャンピオンの古江は、集中することで重圧を乗り越えた。(C)Getty Images

 昨年、『富士通レディース』で史上7人目のアマチュア優勝を飾り、プロに転向した古江彩佳。今季は『デサントレディース東海クラシック』でツアー2勝目となるプロ初優勝を達成し、順調なシーズンを送ってきた。そんな古江が初めて迎えるディフェンディングチャンピオンとして迎えた今年の『富士通レディース』。大会前日まではその言葉の響きを心地よく思っていた古江だが、いざ初日を迎えると心地よさは消え、プレッシャーとなって重くのしかかってきた。

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「(スコアを)落とせないという気持ちになりました」というように、持ち味であるピンをデッドに狙う思い切った攻め方ができず、守りのゴルフに終始した。その結果、2オーバーの47位タイと出遅れる。14ホール中11ホールでフェアウェイをキープしながら、パーオンしたホールは18ホール中11ホールしかなかった。ショットメーカーの古江にしてみれば、思うようにボールをコントロールできなかったといっていい。
 
 そんな状態で迎えた2日目、朝から冷たい雨が降り続く。グリーン上にたまった水をローラーで流しながらのプレーだったため、ハーフ3時間ペースでのラウンドとなった。しかも、昨年までとガラッとコースセッティングを変更。ティショットを落としそうなセカンド地点のラフを伸ばし、ピンの位置も徹底して左右に振っていた。2日目はサイドのグリーンエッジから4ヤード以内のホールが10ホールあったぐらいだ。

 雨のためランが期待できず、寒さで体も動きにくい。自然とセカンドショットで持つクラブはロフトの小さいクラブになり、場合によってはウッドを手にすることも少なくなかった。しかも、端の近くに立っている。「さすがにピンをデッドに狙えないホールが多かったですね」と古江。大ケガを避ける意味でもグリーン上の広いエリアにボールを落とすようにした。目の前の1打に集中するうちに、いつの間にかディフェンディングチャンピオンとしてのプレッシャーはなくなっていた。その結果、初日よりも厳しいコンディションだったにもかかわらず、2バーディ、1ボギーの71で回り、この日数少ないアンダーパーをマークした。