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角田裕毅のF1デビューイヤーは「厳しいスタート」になる?チーム首脳陣が語るルーキーへの警告と期待

THE DIGEST編集部

2021.01.05

今季はシーズン前のテストが3日間だけ。ルーキーの角田にとっては厳しい条件だ。(C)Getty Images

 今季、F1にデビューする角田裕毅については、彼を知る多くの人々がそのドライビング能力やレースの組み立て方、タイヤ・マネジメントを絶賛し、1年目からも結果を残せると期待をかけている。

 しかし、所属するアルファタウリのチームプリンシパル、フランツ・トストは「非常に厳しいスタート」を予想していると、オランダのF1専門メディア『GPFans.com』が報じた。

 彼はその理由として、「ニューカマーにとってF1は、とてもタフなものだ」と語り、以下のように続ける。

「例えば、(第1戦オーストラリア・グランプリの会場である)メルボルンにやって来ると、まず時差ボケに苦しめられる。そして、新しいサーキット(コース)に慣れる必要があり、さらに長い時間、メディア対応やマーケティング活動をこなさなければならない」「車の技術面においても、諸々のプロセスを覚えるのには時間を要するものだ」
 
 さらに今季は、シーズン前のテストが3日間だけであり、昨年と比べて走行できる時間は50%も減少。これは、角田の他、ハースからデビューするミック・シューマッハー、ニキータ・マゼピンにとっても、大きなハンデになると思われる。

「テスト時間が少ないことは、若いドライバーにとって、多大な精神力を要することになるだろう。そして最初のレースは肉体的にもきつく、チャレンジングなものとなるはずだ」

 未経験のサーキットでのレースも、ルーキーにとってはハンデになるとし、「コースを知らないサーキットでは、難しいレースとなるだろう」と語るトスト。しかし裏返せば、勝手知ったるコースでは、いきなりその強みを発揮できるということでもある。

「F2で走ったことがあるバルセロナ、シルバーストーン、オーストリア、ハンガリーでのレースが続く後半戦では、角田が(チームメイトのピエール・)ガスリーに挑戦し、彼に迫ることができるよう願っている」

 加えて、「予選ではQ3に進出し、レースではチームのためにポイントを積み重ねること」をトストは期待する。決して簡単ではない課題だが、それがこの20歳の日本人には可能だと確信しているようだ。

 その能力にお墨付きが与えられているといえども、多くのハンデを背負うことを余儀なくされる1年目となりそうだ。しかし、レッドブルの顧問であるヘルムート・マルコから「驚異的なスピード、優れた知覚と学習能力を持ち、レースでは攻撃性と冷静な思考の素晴らしい融合を見せる」と絶賛される角田は、これを克服して能力の高さと存在感を示してくれるに違いない。

構成●THE DIGEST編集部

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