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マラソン・駅伝

【瀬古利彦リーダーの目】長距離界を席巻する“厚底シューズ”がもたらす可能性とは?「日本選手はもっと記録が出る」

永野祐吏(THE DIGEST編集部)

2021.01.29

2大会連続五輪に出場した瀬古利彦さん。現在は、マラソン強化プロジェクトリーダーを務める。写真:塚本凜平(THE DIGEST写真部)

2大会連続五輪に出場した瀬古利彦さん。現在は、マラソン強化プロジェクトリーダーを務める。写真:塚本凜平(THE DIGEST写真部)

 駒澤大が最終10区で3分19秒差をひっくり返す劇的勝利で幕を閉じた、箱根駅伝。好記録が予想されていたが、蓋を開けてみれば、今大会は往路・復路ともに向い風というコンディションのため、東京国際大のイェゴン・ヴィンセントが2区で区間記録を8秒塗り替える1時間5分49秒という爆走をみせたくらいだ。

 今大会こそ区間新は1つに踏みとどまったが、近年、長距離界では好記録が相次いでおり、その背景として、革新的な靴=厚底シューズが生み出されたことが挙げられている。この状況を日本陸上競技連盟のマラソン強化・戦略プロジェクトリーダーを務める瀬古利彦氏は、どう見ているのか?

 瀬古氏は、この厚底シューズについて「日本選手には、もってこいのシューズ」であると評した。「前傾姿勢を保ったまま、ストライドを伸ばしていける」と言い、これまで「自分たちが無理やりしなきゃいけなかったのが、それを変えないで、無理なくケニア人のフォームというか、体型に近づかせる」ことを可能にしたという。

 ケニアをはじめとするアフリカ系ランナーは元々骨盤が前傾しており、ストライド(歩幅)が伸びると同時に、スムーズな重心移動で効率的に推進力を得ている。それを骨格が違う日本選手が、無理なく可能とさせる革新的なシューズだというのだ。
 
 フォームを維持するための筋力強化が大前提ではあるが、「もうちょっとシューズの履きこなしをマスターしていったら、もっと記録が出ると思う」と、日本人に持ち合わせていない要素を靴で補えること、大きな期待を寄せている。

 現在はナイキのシェア率が高いが「(他メーカーは)ちょっと出遅れてるから、なかなか追いつかないと思うけど、これからどんどんナイキさんに負けないようなシューズをつくっていければ」とメーカー同士の競合で、願わくは日本選手がさらなる高みを目指せる靴を楽しみにしているようだ。

取材・文●山本祐吏(THE DIGEST編集部) 

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