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アルファタウリ・ホンダが“投資“する角田裕毅の可能性。海外メディアは「日本のF1の歴史を変える」と期待

THE DIGEST編集部

2021.02.08

スペインメディアは「角田はF1で優勝する最初の日本人ドライバーとなるだろう」と予測した。(C)Getty Images

 1月27、28日のイモラに続き、2月3、4日にはアドリア海沿いのミサノで走行テストを行なったF1チームのアルファタウリ・ホンダ。角田裕毅はこの2日間で1000km以上を走破したという。

 トロロッソ時代の2019年型マシン「STR14」を駆り、1日目は1周4.064kmのコースを119周走行し、翌日は「2日間で1000km超。今夜、角田はよく眠れるだろう」とチームが伝えている。

 これらのテストは、ルーキーである角田に対してF1マシンに慣れる機会を与えるものであり、最新型マシンであればフィルミングデー(プロモーション用動画撮影のためのもので特別タイヤの使用と走行距離100kmまでという条件が付く)と3月12~14日までの直前テストに限られるところを、「2年以上前のマシンであれば無制限にテストが許される」というレギュレーションによって、多くの走行機会を設けることが可能になった。

 とはいえ、このテストの実施は簡単なものではなかったようだ。チーム責任者のフランツ・トストは「大変な努力を要した」と語っているが、その大きな原因はコロナ禍での移動の問題で、ホンダのスタッフは3週間前に日本からイタリアへ入り、2週間隔離されたという(『MOTORSPORT MAGAZINE.com』より)。

 3月12~14日の直前テストで1人のドライバーに割り当てられるのはその半分であり、彼は「ルーキーにとって、1日半で準備を終えることは不可能だ」と主張し、「ユウキがスーパーライセンスを取得した時、彼のためにテストプログラムを組む必要であることは明らかだった」と語っている。

 これほどの労力を費やしても十分な価値を見出せるほど、アルファタウリ、そしてホンダの両方が、2016年のフォーミュラーカー参戦から、凄まじい勢いでF1までの階段を駆け上がってきた驚異の20歳に大きな期待をかけていることが窺い知れるだろう。
 
 そんな神童の可能性に注目しているのは、チームだけではない。スペインのメディア『El Confidencial』は「角田はF1で優勝する最初の日本人ドライバーとなるだろう」と予測している。

 日本の大企業であるホンダ、トヨタが莫大な投資を行なう一方で、過去の19人の日本人ドライバーは、3人(鈴木亜久里、佐藤琢磨、小林可夢偉/いずれも3位)が表彰台に上がっただけで、ほとんどは栄光からほど遠いものだったが、それが角田によって全てが変わるかもしれないと、同メディアは綴っている。

 イタリアの専門メディア『CIRCUS F1.com』も日本人ドライバーの系譜に注目し、1976年の長谷見昌弘、星野一義、高橋国光のスポット参戦に始まり、1987年の中島悟による初めてのフル参戦、そして角田の前の最後のドライバーである小林可夢偉まで、和製ドライバーの奮闘ぶりをポジティブに振り返り、最後に「ユウキ、今度は君の番だ!」と、激励の言葉で記事を締めている。

 これらの期待に応えて、日本のF1の歴史を変える活躍を角田は見せられるだろうか。3月下旬のシーズン開幕が待ち遠しい。

構成●THE DIGEST編集部

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