2月15日、ヤマハ・ファクトリーは2021年体制をバーチャルリアリティー・プレゼンテーションし、YZR-M1の新カラーリングもお披露目された。だが、その前日のバレンタインデー、マーベリック・ビニャーレスは、いくつか大事な発表をしていた。

　昨年のビニャーレスは１勝に終わり、タイヤに厳しいマシン特性もあって、サーキットごとに成績は乱高下した。MotoGPクラス参戦6年間の中ではスズキからデビューした2015年の12位に次いで低い、ランキング６位に終わった。チーム在籍５年目を迎え、決意も新たにということなのか、結婚を報告した。

　お相手のラクエル・スビラさんは、ビニャーレスと同じスペイン・ジローナ出身。26歳のチャンピオン候補は、自身のインスタグラム（@maverick12official）でブルネットの長い髪が美しい伴侶の姿や左手の結婚指輪を公開。後日、「彼女を永遠に愛し続ける」とのコメントを付けて、鍵と鍵穴のタトゥーを薬指にそれぞれ入れたお互いの手を絡ませる画像も投稿している。

　モータースポーツの世界では“家族が増えた分だけ速さを失う”という迷信があるが、しばしば精神面のナイーヴさが指摘されるライダーだけに、結婚はプラスへと働くかもしれない。

「すごくポジティブな気分で、自分の中から良いフィーリングが沸き起こっているよ」
  　もう1つの発表は、日本のアライ製ヘルメットのデザインリニューアルだ。

　父親が映画『TOP GUN』の大ファンであることから主人公と同じ“マーベリック”の名が付けられたことは知られているが、それに由来してヘルメットのカラーリングも戦闘機や滑走路をモチーフにしてきた。

「これまでと少し違うんだ。グレーの色合いは保ったけど、より星のデザインを強調してみた。このヘルメットのスターたちが僕の才能を全て引き出し、最大限に発揮するというアイデアなんだ。今シーズンは僕のキャリアにおいて非常に重要になるから、このヘルメットが幸運をもたらしてくれることを願っているよ」

　コーナリングスピードこそ速いが、最高速で劣るM1の素性もあり、“TOP GUN”のニックネームとは裏腹にドッグファイトに弱い傾向があるビニャーレス。昨年もポールポジションを３回獲得するなど一発の速さには定評があるだけに、今年こそ“ヤマハの星”として、まばゆいほどの光を放ちたい。

文●甘利隆
著者プロフィール／東京造形大学デザイン科卒業。都内デザイン事務所、『サイクルサウンズ』編集部、広告代理店等を経てフリーランス。Twitter：ama_super

【動画】新しいヘルメットを手にうれしそうなビニャーレス