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角田裕毅とファンの少年の心温まる交流――「4月のイモラで1位になって!」F1ルーキーに地元からエール

THE DIGEST編集部

2021.03.02

リッキー君から絵のプレゼントを受け取った角田は大いに喜んだという。(C)Getty Images

 今月下旬の新シーズン開幕に向けて準備に余念がないF1のスクデーリア・アルファタウリ。今季はルーキーの角田裕毅をレギュラードライバーのひとりに迎えたことで、すでにここまで3度のプライベートテストを実施している。

 そのうち2回、1月の旧型マシンを使ったテストと、先日のフィルミングデーを含めたテストの会場となったのは、チームの本拠地であるイタリア・ファエンツァから15kmほどの距離にあるイモラのアウトドローモ・エンツォ・エディーノ・フェラーリ。角田はここで、十分な周回を重ねてきた。

 コロナ禍によって様々な制約の下で行なわれたこれらのテストだが、その中で心温まるエピソードがあったことを、イモラの自治体ホームページが紹介している。

 これによると、アルファタウリは1月のテストで、地元のリッキー君という少年を招待。聴覚障害を抱えている彼はF1が大好きで、なかでも角田の大ファンであり、彼の絵を描いてプレゼントすると、これを受け取った角田は大いに喜んだという。そして、それから約1か月が過ぎ、再びリッキー君はイモラのサーキットを訪れることができた。

 これに対し、同市の市議会議員を務めるエレーナ・ペナッツィ氏は「アルファタウリのドライバーに会うという彼の夢を叶えた1月に続き、サーキットで再びリッキー君とそのご両親を歓迎できることは大きな喜びです」と声明を出した。同氏は今年10月にも、障害を持つ人や子供たちをサーキットに招待し、至福の時を味わってもらうことを計画していると明かしている。
 
 リッキー君は今回、角田宛の手紙を持参。それには、角田の写真が貼られ、その下に「イモラのサーキットで会えて嬉しかったです。そして、再びここに来られて嬉しいです。4月のイモラでのグランプリ(エミリア・ロマーニャ)で1位になるところが見たいです」と英語でメッセージが書かれていた。この手紙は、サーキットのスタッフによって角田に届けられたという。

 角田をディナーに招待することが希望というリッキー君の母親は「イモラに住むという幸運に加え、多くの人々の尽力により、角田選手に会い、走るF1マシンを可能な限り近いところで見るという夢を叶えることができました。アルファタウリと角田選手の思いやりに感謝します」との言葉を述べている。

 F1ドライバーになるという夢を叶えた20歳の日本人が、イタリアの少年の夢を叶えていた。イモラでの勝利をねだられたルーキーは、少年に大きな喜びと満足を提供することができるか。

構成●THE DIGEST編集部

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