モータースポーツ

ヤマハから“パフォーマンス条項”を突きつけられたロッシ。カタールでのテストに向けて「スタートの準備はできている」

甘利隆

2021.03.04

ロッシは「表彰台を狙いたいし、優勝もしたい。良いポジションを目指して戦いたい」と語った。(c) Yamaha Motor Co., Ltd.

 2004年から2010年、ドゥカティでの2年を挟み、再び2013年から2020年と、合計15年の長きにわたってヤマハのファクトリー・チームに在籍し、その間、4度最高峰クラスのタイトルを磐田のメーカーにもたらしたヴァレンティーノ・ロッシが、新天地のサテライト・チーム、『ペトロナス・ヤマハ・セパン・レーシング・チーム』のオンライン体制発表会にチームメイトのフランコ・モルビデリと共に登場した。

 チームカラーのペトロナス・グリーンと自身のイメージカラーである黄色との相性も良く、「新しい挑戦を待ちきれないよ。マシンのカラーリング、新しいヘルメットとレーシングスーツも気に入っている。表彰台を狙いたいし、優勝もしたい。良いポジションを目指して戦いたいんだ」と2月16日に42歳の誕生日を迎えた今もモチベーションは高い。

 ロッシにはこれまで同様、ファクトリー・スペックのYZR-M1が与えられ、"チーム・ロッシ"の主要メンバーからクルーチーフのダビド・ムニョス、データ分析エンジニアのマッテオ・フラミーニ、パフォーマンストレーナーのイダリオ・マヌエル・ガビラの3人が移籍してきたため、パッケージとして見た競争力は十分だ。なお、昨シーズン、3勝を挙げ、ランキング2位と大健闘したモルビデリは、旧型マシンをベースにしたAスペックプラスのM1で戦う。

 幼なじみで、現在は仕事上のパートナーでもある"ウーチョ"ことアレッシオ・サルッチが「6~7レースを終えて、ヴァレが楽しめているのかどうか、どれだけ競争力があるのかどうかを確認して、その時点で選択をすることになる」と『Sky Sports Italia』に答えていたように、ロッシはシーズン序盤を終えた段階で現役を続けるか否かの決断を下すことになるが、実はヤマハとの契約に『パフォーマンス条項』といわれる内容が盛り込まれているようだ。

 ペトロナスのチーム代表を務めるラズラン・ラザリは「ヴァレンティーノはヤマハとの契約で達成しなければならない多くの目標を設定した」と詳細こそ明かさなかったものの、事実を認め、「レースごとにヴァレンティーノを見なければなりません。最初の6~7レースは、彼と他のすべてのライダーにとって非常に重要。そこでの結果が、彼が自らの将来を決定するその前に"今、自分がどこにいるのか"を示すことになるでしょう」と語っている。
 
 また、チームマネージャーのヨハン・スティグフェルトも「パフォーマンス条項はヤマハから直接受けた要望ですが、もちろん、我々もその事について話し合いました。私たちはヴァレンティーノのパフォーマンスと仕事ぶりを一緒に評価し、彼の将来について話すことに同意しました。彼が望む結果、つまりトップ5やトップ3を獲得した場合、私たちはドアを開けることになります」と述べている。

 ロッシは最高峰クラスで通算199回表彰台に立っているが、昨年はアンダルシアGPでの3位のみ。新型コロナウイルスに罹患して2戦を欠場したこともあり、ランキング15位に終わった。勝利に至っては2017年のオランダGPから遠ざかっている。

 体制発表会で「全力を尽くして最高の結果を出したい。スタートの準備はできている」と話していた"THE DOCTOR"が勝負を懸ける2021年は、3月6日からカタールのロサイル・インターナショナル・サーキットで始まるプレシーズンテストで幕を開ける。

文●甘利隆
著者プロフィール/東京造形大学デザイン科卒業。都内デザイン事務所、『サイクルサウンズ』編集部、広告代理店等を経てフリーランス。Twitter:ama_super
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